彼女はもともとⅢ (ページ5)

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代償ページ5

『メイドさん、やめよう？寄り道なんて、スー姉様が知ったら…ネオ兄様だって怒るに決まってる…』

ずいっと近づいたメイドさんに、カミラはびっくりしたのか低い声でヒッと声を上げた。

「この家は今現在10人の兄弟が仕切っている。
ネオ・アズベルダ・アグマスは一番上で、人を使った実験を良く行い、社会貢献している。
私が旦那様とお呼びする時はネオ様のことだ。

ヘラ・アズベルダ・アグマスは長女で、この家の稼ぎ頭だ。
……まぁ、オークションを開いているよ。高値で売れるんだ。貴族にね。
賞品は……まぁ、過ごせばわかるさ。」

聞きたくない、聞かせたくない話がめの前でポンポンと行き交う。
私に考慮してか、商品のところを人、と言わないところが、また、メイドさんの性格の良さを表している。

食事を運ぶスー姉様が見えた。
おもむろに指を指しているが、スー姉様は気がつかない。ほっと一息ついた。

「ステラ・アズベルダ・アグマスは次女で、三番目
あいつは永遠に三番目なのさ。
母の事業を継いで、利用しながらブリーダーを続けている最低なやつだ。

アイン・アズベルダ・アグマスは五番目の3男だ。
糞ステラとグルになって仲介役をしてるんだ。良質な床と種を引き抜いては、いろんな残虐非道なことも行った。」

ふう、と一息ついて、メイドさんは話を区切る。

『行こう、メイドさん、カミラ』

くいくいと引っ張ったら、メイドさんは、今度はカミラに抱っこするように促した。

初めての人は戸惑うけれど、その戸惑いが、一瞬の戸惑いが命取りになる。

ぎゅうと自分から落ちないように飛び乗ると、メイドさんは、くすくす笑い

「9番目の姉、ナイ・アズベルダ・アグマスにはきをつけろ。
かわいそうな人であり、同時に憎むべき人だ」

何を言われても聞こえないふりをしろ。
見えてないふりをしろ。
喋れないふりをしろ。

と言った

4番目と6番目、7番目、8番目は？とカミラが聞いた

『殺した。』

カミラがえっ、と言った。

『殺した。私が。私が…！』

私が殺した。
だから

「テウ様、落ち着きましょう。」

『Aって呼んでよ…！！』

名前をしつける人はもういないのだから

どうして、理想はこうも現実を嘲笑うのだろうか

騒ぎを聞きつけてナイ姉様が飛んてくる。

「テウ！どうしたの？何があったの？？」

『ゃ！来ないで！ナイ姉様嫌！』

「A。」

カミラは私の目を覆った。

「申し訳ありません。」

温かい手のひらが私の目を覆い隠した

何も見せないように。