彼女はもともとⅢ (ページ39)

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占い師の仕事ページ39

『……どうして』

『どうして死なせてくれないの…？』

わんわん叫ぶ私を包み込むように力いっぱい抱きしめる彼にやり場のない怒りをぶちまける。

へなへなとどんどん崩れていく体にはもう抵抗する意思も、何もなかった。

「死んでほしくないから。
Aから見える明るい未来を無下にさせたくないから。」

彼は目隠しを取っていて、大きな2つの双方に鎮座している蒼いひとみが私を大きく映し出していた

「よしよし…泣かないで」
『うぅ〜…』

撫でられるたびにビクビクと動く体は撫でられることに慣れていないから
そんな自分が恥ずかしくて嫌で顔を埋めるように更に力を入れた。

彼は殴らないし、突き放さない
蹴られることもない。のに

体がビクッと強張る。

悲しそうに笑って彼は私を慰み続ける。
大丈夫、大丈夫だよ。と

「先生呼んできた。」

ノートンはパジャマ姿のエミリー先生とエマを連れてきていた。

「A、大丈夫？」

ぎしっ、とイライの隣に座り抱きついている私の顔を見ようと優しく撫でる

ちらりとそちらを見やると、嬉しそうに微笑んで、頬をするりと撫でた。

「A、おいで」

ぽんぽん。と膝を叩きやさしげに笑う彼は両手を広げた。

イライは私を1撫ですると隣の彼に私を預けた

「明日はゲームなので、お先に…おっと」

『や…』

「何も怖いことはないよA、それじゃあ、おやすみ」

「えぇ、おやすみなさいクラークさん。
また明日」
「またあしたなの！」

明日が来ることがとても幸せだと思う。
するりと絡む腕に自ら擦り寄ればグリグリと頭を押し付けてくる

大きな猫みたいと頭を撫でると、いつもの麦わら帽子を被っているエマが私に微笑んで両手を広げた。

そちらに体を向けようとすると締まる腕に顔を少し顰めてしまったが、彼女は微笑んで私の手を握った。

寝ましょうか、と私に話しかけるエミリー先生に両手を広げると彼女はいともかんたんに抱きかかえてくれる。

「食事を取っているから少し重たくなったわね」

これならあとは歩行練習のみね

いい子いいこと撫でられることに存在意義を見出し始めた私に嬉しそうに笑うみんなに私も嬉しく思う。

『…』

きゅっと裾を握れば彼女はわたしの顔を優しくなでておやすみなさいと額にキスをする。

絵本の幸せな家族のように
パパとママが私の幸せな夢を願うように

ふにゃふにゃと意識が朦朧としてきて、瞼がどんどん落ちてきて…

『おやすみなさい…』

明日が来るかわからないけど。