彼女はもともとⅢ (ページ16)

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あい？ページ16

「……少なくとも、彼はあなたを愛してましたよ。」

何を考えるかわからないその瞳をこちらに向けて私を見た。

「あなたが、それに、答えなかっただけ。」

突き放されてしまった。でももういいの

『一度も名前を呼んでくれなかったのに？？愛じゃなくて嫌悪じゃないの？』

苦々しく顔を歪め、私になぜわからないんですか？と聞く。

『まぁそもそも、愛なんて答えなくて正解なのよ』

そんな、重たくて、汚らわしくて、苦々しいもの。

『答え続けたから、こうなってしまった。』

「それでも！！！」

『まともな愛を育まれて育ったあなたにはわからないでしょうね。』

彼は怯えて、私を睨みつけた。

「そうね、テウは私の愛しか答えたらいけないもの。」

あぁ、今しがた兄を失くしたのに。
今度は貴方か。
ねぇ、テウ？と頬を撫でる姉をはたいた。
姉は壊れたように、騒ぐ。

「こんなのはテウじゃない。」

「なら殺すべき？」

「教育すべき。」

『触らないで！』

みんな敵。
昔から、兄弟に捕まるとひどい目に合う。

だから、チェイスタグは得意だった。

私の目に映るもの全てからトラウマだった。
愛と形容した暴力や、教育、洗脳すべてが
人形のような自分の容姿がトラウマだった。

母は言った。
猟奇的な一家の血が流れてる私が嫌いだと。

三ヶ月間、拘束と暗い部屋に閉じ込められて、爪を剥がされるなどの拷問などの精神的苦痛よりも、その一言がとても傷ついた。

兄弟に捕われて、殴られ、蹴られ、時にはやけどを負わされ、私はあなたしかいないと洗脳されることよりも

死んだ方がましだと思うほど、針で刺されて血を流すよりも

昨日まで家族として一緒に過ごしていた人が、飢えた山犬に喰われるのを間近で見た時のショックよりも、その一言が、傷ついた。

冥土さんにも聞いた。
猟奇的とは何かと。
なぜ私にそんなことするのかと。
私は何か悪いことしたのかと。

冥土さんはしっかりと答えてくれた。
猟奇的というのは私の家族の事。
私が傷付いて、泣き叫んだりする声を聞きたいがためにこんなことをすること。
何も、悪いことはしてないということ。

そこから、私は家族が大きらいだ。

『私は全部知ってる。
ママを殺したのがみんなだってことも
あんたは支配して優越感を得たいんでしょう？』

始めて、ナイお姉様と面と向かって会話をした。
明るいカナリア色の金髪に色白ながらも褐色のいい肌はとても羨ましく、なぜあなたが持ってるのか疑問だった。

私は辛い思いをしてるのに。