彼女はもともとⅢ (ページ8)

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助けてくれるはずがないページ8

覆い被さったは良いものの、普段の行いのおかけで、ぺしゃと潰れた。

『ごめんなさいね、ほんとに、今だけなの』

ポロポロと涙が溢れる。
上からころりと落ちると、顔を覆った。

人肌恋しいとき、ってみんなにもないかなぁ。
私だけなのかな。

私の家族はおかしいから、そんな時期は自分の両手を抱えて、寂しくてぎゅぅって締め付けれられる心臓と同じくらい強く締め付けた。

小児女の心を
悟らせてしまえばそれこそ、良いように使われるかも。
と、いつからか、大人のように振る舞うようになった。

寂しくて、母の部屋の前で蹲って寝ることもなくなった
抱きかかえられて移動することに抵抗もしなくなった。
外に出ずに本を読んで過ごした。

兄弟の重たくて、辛くて、痛い愛を笑って受け止めれるようにもなった。

離れていく心を繋ぎ止めようとも努力した。

必死に、別の言い訳を考えた。
私のため、私のため。私が期待に答えなきゃ。頑張らないと。

そう思えば、思うほどプレッシャーがのしかかって、じわじわと侵食して

「Aさん。」

視界に影がさす。

ふっと上を見上げれば、彼？彼女？
あなたの髪が頬に触れる
思ったより近く、美形のあなたの顔に手を添えるとすりっと寄せられた。

「あ、あなたの帰り、を、みんな、待ってます。」

きゅぅっと、手が密着するような繋ぎ方にビクッとするのは

今度は私の方だった。

優しく割れ物を扱うように握られた手が、嫌に暖かくて

「どんなあなたでも、好きなんです。」

『いっ、あっ？！』

繋がれた手の方に顔を動かすとがら空きになった首にガッと歯が刺さる。
ヌルっと舌が這う奇妙な感覚になんとも言えない羞恥とゾクゾクと這い上がる何か

未知の感覚に小さく声を出せば

あなたは何でもないように離れていって、私の顔に掛かる髪を優しく払った

『んん…』

「思ってるのが、あなただけじゃないと言う事を忘れないでくださいね」

満足そうにぺろっと口の端を舐めて何も無かったようにあちこちを歩き回り、部屋の本や、使っていた化粧道具、クローゼットの服などを見た。

その後ろ姿を見ながら、冷静になった私は、(なんてことをしたんだ。このアホ。)と自責の念に駆られていた。

同時に、よかった。と私はホッとしたのだった。

この家にいると気が変になる。

さっきの私も然り。

目の端の

蒼い瓶の猛毒に酔いしれたかの様に