彼女はもともとⅣ (ページ46)

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愛に触れた。ページ46

空が色づき始めた頃
彼の幼いような顔を見ながら床に落ちた衣類を片付け始めた。

ぽっぽちゃんの巣作りは完成してたらしく、衣類を畳んでも威嚇はしなくなっていた。

自分の来ていた服は皺だらけで着替えずにそのまま寝たからだろう。と察した。

今日から私は、荘園主だ。

イライの部屋から出て、外に出た。
くるりと外玄関から、扉を開けて中に入った。

初めてここに来たとき。

エマと、美智子が私を案内してくれた。

玄関ホールではガヴィンさんに口説かれ、マーサが私を助けてくれた。
ライリーさんとクリーチャーが喧嘩をして、私はとんだ飛ばっちりを食らったっけ。

食堂は、スプーンもフォークも持てない私に、いろんな人が私に食べさせてくれた。

私の歓迎会。邪神が囲まれ、ライリーさんが気絶して
雑魚寝を私がナイチンゲールと一緒に部屋に戻した。

このあたりはリッパーの中に居る画家様と会話をしたところ。

ここのステージの地下でリッパーを打ちのめした。

ここは、イソップに納棺して良いか迫られたところ。

そして

ここはイライと初めてであった
全ての歯車が動き出したところ。

部屋に帰って、未だに寝ているイライに口づけをした。

『この撥条が止まっても切に貴方を愛し続ける』

やらないといけないことは分かっている。
でもそれをやってしまうのがとても惜しい。

この時間が永遠に延びればいいのに

肩に食い込むような鋭い爪でこちらに飛んできたぽっぽちゃん

痛みで正気に戻る。

『最初から最後まで、貴方に助けられてばっかりだわ』

知の化身である貴方なら

『また来るサバイバーを私のようにさせないでね』

さよならイライ。私は貴方を愛していたし、これからも愛し続ける

拍手を２回、たった２回すれば、私は第二の人生を歩むこととなる。

いろんな気持ちに押しつぶされながら、震える手で両手を強く合わせた。

ぱち
ぱち

拍手を2回すればあたりはしんと静まり返る

イライの部屋から出て行って、自室の方へと足を進めるけど、そこには【聖女】と書かれたドアプレートごと、私の部屋がなくなっていた。

これで、私の存在や記憶など全部が消えた

落ちていた花の花弁を足で転がす
こんな綺麗な花の花弁なのにゴミの日に消えているだろう。

「誰なの？」

『あぁ、エマ、初めまして
私は荘園主よ』

荘園主？と私を見るエマに目の前で手を合わせる。

『さよなら、エマ
私の大切な親友』

朝日が目にまぶしかった

すやすやと眠ったエマをソファに座らせ
ゆっくりとその場から離れた