彼女はもともとⅣ (ページ42)

今日:21 hit、昨日:9 hit、合計:7,624 hit

紹介ページ42

「普通は逆なんだろうけどね」
『まぁ、しかたないよ。』

イライは、私の姉妹に挨拶がしたいと一緒に来た。
私も彼を紹介するつもりだったので、一緒に扉の前に立った。

コンコン、と叩くと「どうぞ」と声が聞こえる。
手をつないで緊張しているイライに微笑んで扉を押した

「いらっしゃい」

にこやかに笑うミラの隣にイソップがたっていて。

『回復したの？』
「いいえ、でも今日は機嫌がいいみたいですよ。」

微笑んで口を開くミラに私は微笑んだ。

『ミラ、こちらイライ・クラーク。
私の旦那様です。』

あら、と小さく声を漏らした。
イソップが端的に特徴を告げれば、ミラは、あぁ、と声を出した。

クスクス笑い、お似合いだと言ってくれた

「じゃぁ、もうテウ・Aじゃなくなって、テウ・クラークになったのね

よかったじゃない。」

言われて確かに。と、納得した。
A・クラークになったんだ。私。
忌々しい自分の苗字を上書きしてくれたんだ。

そんな感動を噛みしめていると
ミラは、んんっ、喉の調子を整えると笑った

「テウ、この方はイソップ・カール
私の伴侶です」

どうも、と小さく呟く彼にびっくりした

貴方、ミラと付き合っていて結婚もしていたの？

『えっ、と、聞いてない…』

「聞かれてないですからね」

飄々とした態度で話す彼に、私の頭が少し混乱しているが
イライは全てを知っていたようでミラの手を握り、初めまして、と笑う。

「Aを幸せにします。」

「よろしくね、イライ君。」

イソップが人を殺せそうな目でイライを見ている。
しかしふいっと目を離し、私につめより手を握られた

「ミラさんを幸せにしますね」

『うん。よろしくね』

ﾍﾞｯ、と握られた手をイライニコニコとが引き剥がした。

「……醜い嫉妬は嫌われますよ」
「君に言われたくないね」

申し訳ないけど、今は醜い嫉妬も愛せる。
から
(嬉しいとか言えないな。)

二人は再びバチバチと火花を散らしながら、決着をつける。と外に出て行った。

しんとした部屋に私達の息づかいだけが響く。

「……いいの？」

ミラは、言った。
それは、きっと最後の確認だろう。

『いいの。今じゃ無いと。
幸せな状態でみんなに忘れられたい』

「テウ、無理してない？」

『何言ってるの！してないよ』

嘘だ。私は今になってみんなと共に居たいと思うようになってしまった。

でも、ミラは深追いすることも無く

「そっか。」

と、謝るときのあの気まずそうな声でそう言った。