彼女はもともとⅣ (ページ34)

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荘園主にあいにゆくページ34

｢……そっか。それでも…なのか…｣

『それでも、なの。』

知ってたさ。君のことなら何でも。
僕が止めたって君は行ってしまうことも

髪を優しく撫でて彼はイソップ君の方に背中を押した。

｢君の望んだ未来だ。君の勝ちだよ。｣

｢…どうも。｣

愛する者を幸せにするか
愛する二人を犠牲にするか。

とても辛い判断だったと思う。
いや、そうではないのかもしれない。
愛する人のためなら何でも犠牲に出来るのはとてもよくわかるから。

｢……それでは行きましょう。｣

彼は彼女を連れていった。あの部屋に案内するのだろう。。

｢さよなら、愛した人。｣
僕は君に何かしてあげられただろうか。

開かずの扉がすんなりと開いたことも、今まで皆が部屋にいないと言っていたのにこんなところにいたのかという驚きも

全て部屋の主である荘園主の顔を見て全て消えた
ローズブロンドの髪。私そっくりの顔
苦楽を共にした姉が、妹がそこに横たわっていた

『……ミラ…？』

「そう言えば、姉妹でしたね」

彼は背を向けたまま話しかける。

どういうことだ、と頭がぐるぐる回る

ナイチンゲールは妹に会えるといっていた。
でも死にかけなんて言っていない。
途端に固めていた決意が揺らぐ。

今すぐにでもイライの元へ走り去りたい気分だ。

『馬鹿にも、分かる、説明をして』

と説明を求めた

「彼女は、“黒幕”から力を与えられた元サバイバー。
荘園の核と呼ばれる荘園主」

ナイチンゲールは跪き、一礼を捧げた
彼が口をつむぐ

「不思議に思いませんでした？
新人が増えるたびに増える謎の部屋
試合で大けがを負っても次の日には直る治癒能力
開かない玄関ホール」

それ全て彼女のちからです。

イソップ君は私の手を握り彼女の元へと案内してくれた

延命機器につながれた彼女はすやすやと眠りについている

『…、生きてるん…でしょう？』

「えぇ、生きてますよ。
ただ、次に目を覚ますのは1年後かもしれませんし、明日かもしれない」

延命機器につながれた彼女は穏やかな顔で寝ている
しかし私からは助けを求められているようで心苦しい

『私が、荘園主になるから、彼女を解放して…』

「荘園主に成るためには代替わりの契約をしないといけない

前の荘園主を残酷な運命から開放するんだ(その手で殺すんだ)」

愛する妹をこの手で殺す。

その事実にふらりとよろめき倒れてしまいそうになる。

彼女は何も知らないように優しげな顔で微笑んでいた。