彼女はもともとⅣ (ページ32)

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私の幸せ、彼の幸せページ32

今日も、空間に命乞いをした。

交わされる口吻(くちづけ)に、交わせる言葉

彼はいつまで梟でいるつもりなのか。
四六時中私の元で、彼はゲームの参加をしているのだろうか。

彼が寝静まれば、空間に向かって命乞いをした

『帰りたい。みんなに会いたい』

私の幸せは、確かに彼(イソップ)の言うとおり愛されること。なのだろう。

しかしこの方、私は親に愛されたことは無い。
家族からも、兄弟からも、友人と呼べる人もいない。

妹や飼い犬のベスのような愛がほしいのかと問われればまた違うのだろう

『帰りたい。』

巣営、と言ったか憶えてないのだがぽっぽちゃんは私の服で巣を作り始めていた。

よくある、パートナーを探すための準備らしい。

雌は自分の巣を作り
雄は餌を与えにゆく

断片的に聞いたので憶えていないが、それはまるであなたのようね。と言ったのは憶えている。

私のために餌を与え、巣を作り。

そのまま足かせのように私を閉じ込めて
なにをするでもなくぼーっとして。

キスと、ハグと、それ以上はお互い進まない。
口を開けば私への愛か、元気か、とたわいもない事。

これはいつも道理。

『イライ』

近くに居て、名前を呼ぶだけで

｢なぁに、A｣

あなたは直ぐに振り向いてくれるのに

｢寂しいのかい？｣

『……ううん。』

気持ちはどうも伝わらない。

噛み付くように首筋に食らいつく貴方に怖くなって、小さな悲鳴を上げる

その痛みが徐々に擽ったさに変わり、小さく官
なのにみんながいないだけで能的な声を上げる。

そんな自分が、この状況を妥協しているようで嫌気がさして手を口で押さえた。
帰りたいんだよ。あなたと一緒に、いつもの日常へ

｢おしまい、ね｣

『はぁっ…！…う、う…ん』

上がる声に、潤む目
落ち着けばまた流されてしまった。と嫌気がさしてするりと隣から逃げ出す。

頬にキスを落とすと、ぽろぽろとついでに涙も落ちる。

彼と一緒のベッドにはまだ、寝る気になれず
床でうずくまって泣いてると、ぽっぽちゃんは私を心配そうに見つめていた。

きっと私は、彼の大きな愛を受け止めるのが怖くて
怖くて怖くてたまらないのだろう