歪んだ愛を一杯 ページ27
『ジャック、あのね』
「…」
ぽす、と頭に手を置かれ優しく髪を撫でるように添わされた
髪の流れに従って動く手に擦り寄ると彼は顔を真っ赤にしておわり！！と叫んだ
『何で急に…？』
「…約束だっただろう？」
『…ん…』
まだ撫でてくれたって良いのに
敬愛の念を抱いている。
彼の手は、新しい物を生み出す素晴らしい物だ。
テントの外に出た、滑り台近くの解読機。
かたがたと動く機械にばちりとなる。
そのたびに地下に逃げてゆく
『ジャックぅ〜？！』
「結局ついてきたのは君の方だ。恨まないでくれよ？」
『自分の行動は責任をちゃんと持つわよ』
「殺人鬼さんは礼儀正しいね」
地下から顔を出すと、心音が鳴る。
『……ハンター観てみたい気もするけど』
「や、止めてよ？普通に試合と変わらないんだから…」
『そもそもこれの目的がわかんない…』
「僕に聞かれたってねぇ…」
鳥の声がする。梟か。
『……こっち来てない？』
「しっ…」
確かに梟は、近づいてくる。
羽ばたく音が近くに聞こえる。
「へぁ…こっち…」
『うん』
どうやらお散歩に近く、傭兵、フィオナ、おまけに透明化(ただ存在感が消えるだけ)のジャック、解読特化の私になれば探すのも大変なのだろうか。
『ねぇ、逃げ切れるんじゃない？』
「油断しちゃいけないよ」
彼は目を外すことなく、侵入してきた梟を観ていた。
「暗号機が上がらない。つまりはそういう事さ」
どういう事か考える前にフィオナが目の前に現れた。
上の方からワープを張ったらしく、梟と対面している。
「しまっ…」
梟は、襲いかかるようにフィオナを狙い始める。
尖った爪は、怪我口によく刺さっていたからよくわかる。
「痛っ…！」
いたぶられ動きが鈍くなるフィオナを見ていられなくて、私は静止を振り切り彼女を助け出した。
『フィー！こっち！！』
「だめだ！A！！」
「A？！なんで！」
引っ張って彼女を立たせると、既に負傷状態で、ダウン状態にならなくて良かったという安心感と、素直に怖いと思ってしまった。
『まるで、狩りをするみたいな…』
新衣装に血がついた。
あの葬式の時に着ていた赤いドレス。
鈍い赤になっていく。
『みんなでにげたいの！』
十字架を梟に付けると、位置が分かる。
それをいつ捕られるか分からないけど、共有はされるはずだ。
《解読に集中して！》
ジャックはうしろ、わたしはフィーと。
なら、今“彼”とチェイスをしてるのはきっと、
《ハンターが近くに居る！》
ナワーブの元だろう
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作者名：COLOR莓愛 | 作成日時：2020年2月7日 3時
