彼女はもともとⅣ (ページ23)

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二人の逢瀬ページ23

微かに声が聞こえる。

彼女が私を見ている。

大きな目で、好奇心を目にいっぱい捕まえたような目で。

「無理しないで。」

『……ありがとう』

彼女はきっと聞こえてない。
ここはそうだ。いつも一方通行なのだから。

彼女が言いたいことを言い、私は言いたいことは言えず仕舞いだ。

マスクを付けたパジャマの人が私に好きと伝えた。

口が勝手に動いていく。
言葉を紡ぐ

『ごめんね、あなたのこと私も大好きよ。
でもね、私は許せないの。
あなたのせいじゃ無いとしても』

「そう…ですか。」

彼に1つ、敬愛の意味を込めて前髪を分けてキスを落とすと私は笑った

「…私はあなたも好きだよ。大好き。
妹を綺麗にしてくれた。

でも、私は一番、あの蒼の目をした男の子が忘れられない。」

私は笑ってそう答えた。
その答えが彼をどれだけ悲しませるのか私は十二分に分かっていた。

彼は微笑み、すっきりしたような顔つきでしっかりと笑った

「それでも私は貴方が好きです。貴方だけをただ馬鹿のように永久に愛しましょう」

「彼女がうらやましい限りだなぁ。」

あの子が笑う
私は届かないと分かりつつも手を伸ばした

エミリー先生が薄い病室のカーテンから顔を出した。

「おはようA。気分はいかがかしら」

『……夢を見ていたんです。』

とても残酷で幸せな夢を。

彼を傷つける残酷で、あの子に会えた幸せな夢。

『夢見がちなあの子らしい幸せな夢を。見せてくれたの。』

エミリー先生はぽかんとして、水分取らないとね。と、少ししょっぱい水をくれた。

あの子らしい。と言われても
あなたはあの子を知らないし、あの子もあなたを知らないだろう。

それでも私は後ろ姿の先生に私は問うた。

『せんせい。幸せってなぁに？愛ってなぁに？』

私には分からないことだらけだ。

あぁ、ほんとに。

それでいて学ぼうともしないから

私は一生馬鹿者だ。

【虚無】

心があれば、諦めはしなかったのだろうか

最後の鐘が鳴る。
雨が私を叩きつけ妹との別れを突きつける。