彼女はもともとⅣ (ページ18)

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人じゃないページ18

『一ヶ月前にナイチンゲールと対話したの。
そこで期限付きの重要な物をもらった。

先日、それを使う覚悟を私は決めたはずなのに』

ランクマのこと。
いつもの私ならきっと、一瞥していただろう。
なのに、感情的になってしまいあんなことをした。

イライの事。
あの日私は彼の彼女の代わりになろうとした筈なのに、今ではそれにいなされてしまっている。

『これじゃぁまるで』

死ぬのが怖い…みたいだ。

「我は邪神ぞ？人では無い。
一度話してみるのも良いのではないか？」

『あー、まぁ。そうだけど、話すのが憚られるって言うか』

ハスターも、存在が無くなるかもしれない一人だから。

『でもそうだな…ハスターは幼女神だもんね』
「邪神だ。貴様不敬ぞ？」

『あはは、神なんかに尊敬したことないからさ』

「ほう？」

私は生まれてこの方信仰心なんて皆無だ。
信じる者が救われる所なんて何一つなかったよ

「信者に手を焼くなんて…」

貴様には疲れる。とハスターは静かに遠くを見た。

『いいよそれで。憶えて居てよ。私のこと。』

彼は「当たり前だろう。信者を憶えていることなんて。」

ほろりと涙が零れ
はっと私は顔を上げた。
妹の言ってた「もしも世界が今日で終わりなら」と、同じなのだ。

『…あなたと話してると謎が解けていくわね』

「そうか？我は人の子、お前の話を聞いてるだけぞ。」

ほーん、とさほど興味も無いように前を向く。

藻掻く。運命を変えようとして。必死に

私にとっては恥でしかない。
家のことを皆に知られ、助けられ、もう一人の私の後ろに隠れ

それでも私が必死に抵抗していたのは運命を変えようとして。

『最近の私は、生きようとしてたんだよ。幼女神。』

なんだとー？！とぷんすかと怒るハスターに礼を言った。

『もう悔いは無い。そのときに備えて私は覚悟するだけだ。』

「……謎は解けたか？」

『えぇ、すっきり。
だから今は友人に会いたい。』

「……今は奴は試合中だ。暫くしてから会いに行くが良い。」

『そりゃどーも』

追いかけてた信者はフィーの方だったか
海に突き落とした腹いせにフィーにこの事を話してやろう。と

解放されたゲートへと走り去った

「聞いておったか？我が信者」

「……えぇ、ありがとうございました。ハスター様」

「……見積もってもそのうち…だな。」

「……はい。」

彼女の去ったゲート
潮の匂いがするこのステージ

「……」

全てを知ってしまった僕は
彼女に何をしてあげられるだろう。