彼女はもともとⅣ (ページ15)

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悪い子ページ15

別に、彼の姿に重なったから渡したとかではなかった。
ただ単に、気が向いたのだ。

そして、彼らに報いを受けさせたかった。

『がんばれ、がんばれ』

ずるずると這いつくばって来る彼女を見下していた。

「アナタ、良い性格してますね」

『アナタよりはましよ。』

先ほどリッパーは、私には目もくれず
まず機械技師を狙った。
至近距離の霧の刃を受けて彼女は走り去っていき、その後ろのオフェンスの突進を彼は受けつつも一撃ダメージを与えた。

中傷状態のオフェンスがもう一度こちらに突進しようとしたところを私が彼の手に十字架を渡してスタンを無効。そのおかげでオフェンスをダウンさせることが出来たのだった。

「先日は私の荘園の感染者がお世話になりましたね」

そうやって、椅子に座らされた彼は飛ばされ
私達の利害は一致した

「私と狩りにでも？」
『良いわね』

わざと機械技師の居場所を漏らし、私は解読を進め、計画通りに進んだ鮮やかな犯行は終わりに近づいていた。

「引き留める付いちゃうから…！やめて…！まだまだ待って！」

良い子だから

イライからの「解読に集中して」が来た途端、私は暗号機に手を掛け、リッパーは大きく振りかぶった

『いやいや、聖女が良い子なんて誰が決めたの？』

ヘラッと笑い私は、初めて

「っ…！やめ…！」

自分自身の意思で誰かを不幸に蹴落とした。

通電、赤い目のハンター、私の頭のウィンプルをするりと解いた彼女の手。

全てがスローに見えてとても良い気持ちだった。

『目の前で暗号機を上げられる気分はどお？』

何もしゃべれない彼女を
ただただ見下していた。

目の前で倒れているトレイシーが何かを言っている。

「たすけてよ…あんただって勝ちたいでしょう？」

と泣いていた。

『勝ち負けなんてどうでもいいし知らないわよ。』

と一瞥して私は一歩後ろに下がる。

『あは、懺悔なさい。そして役立たずのあのオフェンスと一緒に泣きなさいよ。

負け犬になっちゃった～ってね！』

許さない！あんたなんて死んでしまえ！

そう、トレイシー(私の友達)でありながらトレイシー(私の荘園の彼女)じゃない彼女が叫んだ。

【察知】

全てを理解してしまえば、後は簡単だった

そうよね、あなたは私よりも従順なベスのほうが好きなんでしょ？私と違ってあなた無しじゃ生きられないものね。全て思い通りにならない私よりベスのほうが何もかも思い通りになるものね。