彼女はもともとⅣ (ページ11)

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先生のカウンセリングページ11

「それは自分で考えるべきよ」

『……』

彼女は点滴を打っている私の手を握りながらそう言った。

私は先ほどのお話を話した。

みんなに騒がれて、悲しくもないのに泣いてしまったこと。
話せないけど不安で時々死にたくなること
死ななくても自分を傷つけてしまいたくなること。
優しいイソップ君を傷つけてしまったこと
幸せになりましょうと言われたのに、本能的になれないと察してしまったこと
彼と距離が開いてしまったこと

聞きたいことはたくさんあった。

でもそれらに彼女は答えることはなかった。
ただ、一言私に助言を告げて

「でもね、そう本能的に思ってしまうのは
貴方にはもう心に決めた人が居るのよ。」

『…どういう…こと？』

さぁてね、と彼女はもう一つコップを取り出した。

誰も居ない席に一つ紅茶を入れたティーカップを置いて席に座り直す

「エミリー！」

ノックも無しに飛び込んできた彼女は私の姿を見るとあからさまに残念そうな顔をする。

「どっちも好きだけどエミリーと二人っきりになれないのは悲しいなの…」

「診察の時間だもの。エマ、それにノックしてって何度も言ってるでしょう？」

「はぁいなの～」

私と先生はあははと苦笑い。
彼女は私の机に黄色い向日葵をぽん、とおくと「お届け物なの！」と笑う

誰からだろう、と裏を見てその華を千切ろうとしたところでエマに止められる。

「そんなことしたら駄目なの！かわいそうなの～！」

救われるようにきゅっと握られ私は視線でその華を観察した。

華はそよそよとそよいでいる。
かぜもないのになぁ…と私は花と花の間に手を入れた

もやしみたいなやつがいる。
そいつは私が解除するとﾋﾟｷﾞｨと鳴いた

『あー！！！あの変態紳士ぃっ！！』

エマは大声を出した私に驚いていた。が、にこにこと

「げんきになったのー！」
　と笑った。

「テウよりも貴方の方が心配よ」

最近指がなくなったらしいじゃない
へいきなの～！いつものことなの！それにゲームしたら治るの！

お互いによい笑顔だけど、話している内容はとてもわらえない。

確かにエマの人差し指は指名手配されていた。
精神病院の銅像付近にあったんだろうね

見つけた当の本人は、私にウインナーを差し出してきたので脳筋三人衆に渡した。

そのうちエリーとマーサは食べなかったが、事を知らないナワーブだけはおいしそうに食べていた

幸せな空間(邪魔できない空間)が出来上がっていたのでそっとドアを開き

『…変態紳士に聞いてみるのも良いかもしれない』

と廊下に出た