(仮)１ ページ1
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「はあーーーっ」
ひとつ大きな息を吐く。
「もーいっそこの棚ぜんぶ欲しー……」
というのも、私の趣味は画材屋を見つけては漁ることなのである。
イラストマーカーやらスケッチブックやら新しいものを目にする度に「ここが家だったら」なんて妄想しては家に即座に帰り、仕事を捗らせる。
「この画材屋さんほんとにサイコーだったなー…
…毎日でも来よ、朝から行きゃ昼には帰れるはず」
電車に乗って今日見つけた画材屋の風景を全て思い返しては、明日の過ごし方の妄想をする。
明日の行き先は、相も変わらず、今日見つけた
“楽卓堂”
に決定かな。
そんな明日ばかり考えて、幸せに浸っていたその時だった。
「…っは」
電車のドアの傍にせっかく陣取れたのに、ちゃんと背中は壁につけとくべきだった。
「……だっから、」
思わず声を出してしまいすぐ口を手で塞いだ。
「 (誰か、たすけて……) 」
耐えに耐え切れなくなり、後ろを振り向き助けを求めよう。
そう思い、ぶんと頭を後ろに向ける。
？「…ブッ、…」
「…………」
いや今！！！笑ったよね！？
ちょっと遠くの方にいる長身のちょっとイケメン！！！！ねぇ！？！？？
やっぱイケメンは信じるべきじゃねぇなホントに！！！！！！
マジで痴漢されて困ってんのに助けろよホント！！
イケメンなんか爆発して月まで飛んでけ！！！
「…〜〜っ」
もう次降りてやる！！帰るの遅くなるけど！
なんて思ってたその時。
後ろからの圧がなくなった。
…なんだよ私の尻に飽きたのかよジジイ、それはそれで傷つきそうなんだが。
そして駅に着きドアが開く。
…飽きられて捨てられたしこのまま乗って帰るか。
？「ねぇ」
「は、…え、え、」
いきなり肩に指でつつかれて、話しかけられたらこんな反応するだろ。
なんでまた爆笑すんだよイケメン。
てかなんですぐ後ろいんだよ………さっきまでちょっと遠くにいたじゃん…
？「あははちょー面白い……
…てかあんたどこで降りんの？」
「え、…３つ後の駅、だけど」
？「え、何同じじゃん。運命感じちゃうね」
………何言ってんだコイツ。
いやマジでこのイケメン誰だよ。
誰か助けて。
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作者名：ぱいなっぷ。 | 作成日時：2019年6月18日 1時
