【歌い手】3人4脚は難しい。

にじゅうさん ページ25

「歌い手系バンドと言っても、各々歌ってみた動画はあげてますし歌い手と大差変わりないと思います。3人が集まったらバンドとして活動しているだけであって…」


「メリットは？」


「ぱすからーさんは事務所に所属してます。だから、今の僕たちじゃ力が足りないことも出来る」


「ぱすからーを利用するってこと？」


「それは違います。ぱすからーさんを加えることによって、今よりもっと良いライブにできる。何よりらんさんのあの歌唱力、こころさんの技術力…ぱすからーさんは僕たちにはない色を持ってます」


シン、と静まり返るみんな。まふくんは言葉のトーンから読み取るに、真剣に話してるし、本当にそう思ってる。まぁ別に下心があったとしても僕は構わない。ぱすからーと…ううん、Aさんと共演できるなら何でもいい。まぁ、Aさんの名前が出てこないのはちょっとムカつくけど。


「俺は賛成。今人気が出てるぱすからーが出たら注目度は上がるし…なんなら僕たちの活動範囲も広がるかもしれない。メリットだらけじゃん？」


そう言うと、まふくんはホッとしたように胸を撫で下ろした。今回の件に関してはまふくんに感謝だ。Aさんの名前が出てこないのはちょっとムカつくけど。


「反対の人はいますか？」


挙手はされず、まふくんはふわりと笑って__皆さんありがとうございます__と言った。


「言われてみればメリットしかねぇしな」


「ぱすからーに初めて会うんやけど…楽しみ」


「ぱすからーさんに依頼してから打ち合わせは進めましょうか」


「そうやね」


__じゃあ今日は解散！__の声でみんながバラバラと動き出す。僕もAさんの練習場所に顔出しに行こうかな、と思いながら部屋を出ようとすると、坂田が声をかけてきた。

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