その刃は誰がため 1 ページ12
絆メイン。
未クリアの方はネタバレあり。
*
イレブンは勇者だ。
魔法戦士として旅をし、刃を振るっていたわたしは大樹に導かれ、イレブンたちと共に旅をすることとなった。
道中はとても困難なもので、途中で何度か挫けそうになった。立ち直れそうにないときもあった。
それでも、イレブンとみんなが支えてくれたおかげで、邪神を倒すことができた。
それなのに
それなのに、イレブンが勇者でなければ良かった、と思ってしまうわたしがいるのだ。
一人でこの世界から消えてしまったわたしたちの仲間、ベロニカ。
わたしたちを逃がして、散ってしまった彼女の葉を蘇らせようと、世界を奔走して調べていたのだ。
墜ちてしまった神の建物から見つけた手がかり。
そして、神の乗り物であるケトスで訪れた塔で得られた情報は、酷なものだった。
過ぎ去りし時を求める為に、時のオーブを壊す。
それは、成功すれば時を渡ることができるかもしれないが、失敗すれば、永遠に時の狭間をさまよってしまうことになるという、極めて危険なものだった。
時を渡ることができるのは勇者であるイレブンだけで、時を渡ってしまえば、わたしたちはイレブンとは永遠に会えなくなってしまう。
無論、わたしたちは全員反対した。
ベロニカだけでなく、イレブンまでも失ってしまうなんて嫌だ、耐えられない。
この世界では、もうベロニカには会えないのだから、時を渡るなんて意味があるのか、だなんて混乱する頭で考えてしまった。今となってはその時の自分を思いきり切りつけたいのだが、確かに戸惑っていたのだ。それは仲間も同じ。
それでも、イレブンはいつものように頑固だった。
「キミは……キミは、イレブンは、最後まで頑固だったね。絶対に忘れられない。忘れないよ。」
泣きそうなのを堪えて言ったときの、イレブンの泣きそうな微笑みが目に焼き付いて離れない。
勇者の剣を彼が構える。水の膜で少しぼやけているが、初めて出会った時よりも逞しくなった背中を見て、
嗚呼、やはりイレブンは勇者なんだ、とぼんやりする頭で考えた。
それが、私の日常からイレブンが消えた日だ。
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こむぎ(プロフ) - -lapis-さん» うわあ、ありがとうございます!全然邪魔じゃないですよ、嬉しいです!構成力が無く、いつも勢いとノリで書いているので内容があやふやになりがちですが、これからもがんばります! (2020年8月10日 8時) (レス) id: c703b71d28 (このIDを非表示/違反報告)
-lapis-(プロフ) - 下のコメント、邪魔でしたらごめんなさい(>_<) (2020年8月10日 1時) (レス) id: 889b96bc0b (このIDを非表示/違反報告)
-lapis-(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらっています、元「ルイズ」です。名前を変更させて頂きましたので一応ご報告を…あと、長編も全部読ませてもらっております!リクエストじゃなくてすいません、後々考えますね…あと、頑張って下さい! (2020年8月10日 1時) (レス) id: 889b96bc0b (このIDを非表示/違反報告)
グリノワ(プロフ) - こむぎさん» あ、大丈夫ですよ!こむぎさんのペースで更新してください! (2020年7月14日 8時) (レス) id: 99844850a9 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - グリノワさん» コメントありがとうございます。了解です!こういうシチュエーション好きです!萌え……!更新はできるだけ頑張ってみますが、忙しいので、気長にお待ちいただけると幸いです……! (2020年7月14日 0時) (レス) id: c703b71d28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむぎ | 作成日時:2020年4月6日 12時