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「・・・須貝さん」
sgi「ごめん、逃げられたくなかったから。待ってた。」
バイトのあがり時間に合わせて外でAちゃんを待ってた。
帰ってこなかったらまたふりだし。それは困る。
Aちゃんは下を向きながら俺の隣で歩き出した。
「・・・すみま、せんでした。」
sgi「なんでAちゃんが謝んの。」
「須貝さんのお家です。須貝さんがなんの番組を見ようと私がどうこう言える立場ではないうえに手を払って・・・おもちの世話も、押し付けました。」
sgi「いや、Aちゃんと一緒に住むんだったら配慮すべきは俺なんだわ。ごめんな。」
「須貝さんは、ああいう番組見ると、思ってませんでした。」
sgi「いやあれは「私、家出ます。」いや、ちょっと待って」
「出たいんです。」
sgi「ほんとにあれはちが「一緒に住めません」、だから聞けよ!」
「っっ」
sgi「あ・・・ごめん。」
「ごめ、なさい。」
sgi「あれは深夜のアニメが放送延期になって録画されてなかったやつ。見てもない。」
「それだけじゃないです。」
sgi「じゃあなに。」
「須貝さんが慕ってらっしゃる方に、やっぱり申し訳が立ちません。」
sgi「それは、いいんだって。」
「私が・・・私なら、嫌です。優しさだけでそこまでする人を、信じきれません。」
sgi「俺、そこまで優しいできた人間じゃないんだけど?」
「そうだと思うから、出ていきたいんです。何か裏がある、無償の愛なんてこの世にない。私はそう思っています。せっかく親切にしてくださってるのに、そう思いたくないです。須貝さんと良い友人関係を築けません。」
疑うことを罪だと、申し訳ないと、思ってるのは。Aちゃんが信じたいと思ってるからだよ。
俺のこと、信じたいのに信じられないから、辛いんだろ。
「須貝さんが、女性なら、良かったのに。」
sgi「俺は、Aちゃんが女の子で、自分が男で良かったと思ってるよ。」
「・・・っ。」
sgi「・・・なあAちゃん。俺が、最初から、友人だなんて思ってなかったら?」
「・・・」
sgi「Aちゃんへの親切心に全部下心があったら。今この場で嫌いになんの?」
「・・・なんで。そんなこと、言うんですか。嫌いになって欲しいんですか。」
sgi「好きになって。」
「っ!!」
sgi「俺の好きな相手は、Aちゃんだよ。」
好きだ。
友人で信頼されるくらいなら、嫌ってくれ。
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作者名:たらこ | 作成日時:2021年4月15日 20時