笑った君と手を繋いで【sgi】 (ページ20)

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sgi side

いない。どこ行った？

あれからすぐ追いかけて行ったのに、Aちゃんは一向に見つからない。
もうそろそろ辺りも暗いし心配なんだけど。

ボロアパート行ったけどいなかった。
前Aちゃんが住んでた部屋鍵もかけずにそのまんま。
危なすぎだろ。

おもちの散歩コースも一通り回った。
公園とか暗くなったら危ないし真っ先に行ってみたけどいなかった。どこいんだよ...

一旦マンションに戻る。
おもちが尻尾振って駆け寄ってきた。

sgi「おまえの飼い主はどこですかー。」

おもちを抱き上げて聞いたけど答えてはくれなかった。

これ以上待たせては可哀想だと思い散歩に出た。
・・・Aちゃんがおもちの散歩放棄するなんて、初めてだわ。

駅近くの公園まで行って帰ろうとおもちに声をかけた。

sgi「おもちー帰るぞー。」

・・・いつもなら一緒にUターンするのに、おもちは駅を向いたまま。

sgi「おもち？」

ﾜﾝｯﾜﾝﾜﾝｯ

？！

おもちが、吠えるのなんて初めて聞いた。
・・・おもちが進むまま行くか。
おもちはぐんぐん進み、ある店の前シュパッと座った。

・・・牛丼屋。

今日夜入ってるっつってたな。
店の中を覗くと。

・・・いるわ。
傷ついて公園で泣いてるような子じゃ、ないと。ああそうですか。

sgi「帰んぞ、おもち。」

おもちを抱えて家に帰る。
おもちにご飯をあげ食べ終わるのを見届けて家を出た。
行く先はもちろん牛丼屋。

牛丼大盛の食券を買ってカウンターに座る。

「・・・須貝さん」

無言でAちゃんの前に食券を出す。

「・・・いらっしゃいませ。」

こんな時でもちゃんと接客すんだな君は。
Aちゃんは食券をちぎって半券を俺に差し出した。

・・・手、震えてんじゃん。

ごめん、俺が間違ってた。
Aちゃんは全然クールじゃない、普通の女の子だったわ。

sgi「ごめんな。」

Aちゃんは何も答えなかった。