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その日はQuizKnockの撮影日で、すべての収録が終わった後、こうちゃんと福良と飲みに行って、その帰りだった。
今日はコンビニにも牛丼屋にもいなさそうだな。
駅からの帰りは毎度チラッと倉科ちゃんがいるか確認するのが日課になりつつあって。
マンションまでの道を帰っていると小さい背中とライトを首元に付けた白いまるっこい犬。
倉科ちゃんとおもちだ!
また研究室に遅くまで篭ってたのか?こんな遅い時間に散歩とは珍しい。
柄にもなく小走りででも気付かれないようにそっと倉科ちゃんに近づく。
sgi「倉科ちゃん!」
ビクッ
sgi「あ、ごめんびっくりさs「いや!・・・ごめ、ごめんなさい、」倉科ちゃん?」
倉科ちゃんはいつもの淡々とした対応ではなくうずくまって頭を抱えてしまった。
ひたすら謝り続けている。
近づけない。手を伸ばせない。
間違いなく目の前の女の子は俺に怯えている。
いや、正確に言うと俺に重なって見えている誰か、にだ。
どうすればいい?
倉科ちゃんに今触れることはおろか俺だと認識してもらうことすら難しいというのに。
おもちは倉科ちゃんの横で飼い主を心配そうに見つめている。
いつもはくるんとしている尻尾もすっかり下がってしまっている。
・・・!!
おもち!今の俺はお前だけが頼りだ!頼む!!
俺はおもちを抱き上げ倉科ちゃんの顔の前に持って行く。
sgi「ヴアンッ!!」
・・・違う、ミスった。おもちは小型犬も小型犬なのにいつもの癖でドーベルマンみたいな泣き声を出してしまった。
慌てて小型犬の鳴き声を脳内Google先生で検索していると、
「・・・お、もち」
頬を濡らした倉科ちゃんがおもちにゆるゆると手を伸ばしてきた。
倉科ちゃんの腕におもちをパスするとぎゅっとおもちを抱きしめる。
sgi「・・・大丈夫?」
「・・・す、がいさん。っ!す、すみません。お見苦しいところを・・・」
sgi「いや、驚かせたの俺だから。ごめんな。・・・帰るか」
気まずい雰囲気で歩き始めた。
倉科ちゃんはおもちを降ろさず抱きしめたままだった。
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作者名:たらこ | 作成日時:2021年4月15日 20時