気持ちは顔じゃ表せない ページ30
9月に入ったけどまだまだ暑いわ。
コンビニに入りペットボトル飲料を手に取ってレジに並ぶと珍しく並んでる。
・・・ん？2個前のおじいちゃんがもたついてる。
ああ、現金で払いたいけど10円足んねえのか。
「じじい、早くしろよ。」
「す、すまんねえ・・・」
そりゃちょっとうんざりする展開かもしんねえけど、口悪いぞ兄ちゃん。
お年寄りは大切にしろって習わんかったか？
レジの店員を見ると爪見ながら我関せず、と言ったところ。
おいおい、大丈夫ですか、とかあるだろ。
仕事中に爪を見るな。気になるなら切って来いそんなもん。
10円だろ、それくらい払ってやる心優しい奴はおらんのか。
スマホ決済する予定だったので出してなかった財布に手をかけたその時。
「はい。これでちょうどです。」
「え？あ・・・」
「ちょうどいただきまーす。ありがとうございまーす。お次の方どうぞー。」
「おじいちゃん、とりあえずこちらへ。」
レジの奥から出て来て10円を出した女の子は次の兄ちゃんのレジのためおじいちゃんのレジ袋を持ってすっと横に避けた。
「すまないねえ、お嬢ちゃん、お金ちゃんと返すよ。えーと、」
「良いです。今日も和菓子ですか。」
なるほど、よく来るおじいちゃんなのね。
何度もお礼を言っておじいちゃんは去っていった。
笑顔になるわけでもなくすっとお辞儀をすると女の子はレジの子を複雑そうに見てコンビニを出て行った。それと同時に兄ちゃんのレジが終わったので急いで会計を済ませて女の子を追いかける。
sgi「A。」
そう、皆さまお気づきの通りこの心優しい女の子、俺の彼女のAちゃんです。
「あ、駿貴くん。こんにちは。」
sgi「うん、こんにちは。朝も会ってるけどな。」
というか一緒に住んでるんですけどねえ。
相変わらず淡泊。駿貴くん見て笑顔！とかはない。まあ良いのよ、その分笑った時が堪らなく可愛いんだから。
「では朝も会ってる人に昼会った時の挨拶は何なのでしょうか。」
sgi「すまん俺が悪いわ。さっきの発言撤回。こんにちはで良い。」
そもそも挨拶がいらないような気もすんだけど挨拶して悪いことはないし、うん、この子は突き詰めるタイプの子だから引き返すが吉。
「？？」
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作者名：たらこ
| 作成日時：2021年4月15日 20時
