帯に短し襷に長し

6 ページ36

航平に告白されてから2日。
もうご飯、誘えないなあなんて思いながら会社を出てスーパーに寄り、家で夜ご飯を作る。


wtnb「ねえ、なんでAも仕事してんのにご飯毎日欠かさず作ってんの？」


たしかに、ねえ。
次の日のお弁当用にちょっと小さなハンバーグを作ってタッパーで冷やす。
今日何時に帰ってくるんだろ。どうせ聞いたところで返事こないしなあ。
そんなことを思いながら1人でご飯を食べ終わって洗い物も終わり、録画していたドラマを見たり洗濯をしていたら気付けばもう23時。


「・・・いらなかったかあ。」


こんなことにも慣れてしまった自分が嫌だ。


wtnb「ねえA、そんな寂しい生活してまでその人と結婚したいの？Aは結婚がしたいの？その人と一緒にいたいの？どっち？」


こんな時に限って、航平に今まで言われたことが脳内を駆け巡る。


「違うに決まってんじゃん。」


今こんな生活で、結婚したって幸せにならないことくらい、私が1番分かってるよ。


彼氏「ただいま帰りました〜！」


「・・・飲んできたの？」


彼氏「うん、会社の近くに美味い居酒屋出来てさ、もう最高！」


「・・・ねえ、ご飯いらない時は、連絡、欲しいんだけど。作っちゃうし・・・」


彼氏「え？いいじゃん、いつか食べるでしょ」


「今週の洗濯当番、私じゃないよね？」


彼氏「え？俺がやる前に先にAがやっちゃうんじゃん。Aが何もしなければやるよ？でも俺がやっても綺麗に干さないよ？いいの？」


あ。ダメだ。きっとこれからもこうやって、色んなことを誤魔化されてくんだろな。


「・・・ねえ、」


彼氏「まだ何かあんの？せっかく気持ちよく飲んできたってのに。」


「私と、別れてください。」


彼氏「・・・は？」


「家は私が出て行く。明日定休だからその時に家探すから。」


彼氏「ちょ、明日定休って、最初から別れる気だったわけ？いきなりなんだよ、」


「・・・明日、定休取ってたのは、約束してたからだよ。忘れてた？」


彼氏「っっ、俺は別れる気ないから！」


お風呂に入るべく洗面所に向かう彼氏を横目に、スマホを取り出すと未読のままの航平からのLINEが目に入った。
・・・もうちょっと、待って。

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す