帯に短し襷に長し

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結局あの後海外用のキャリーケースにありったけの荷物を詰めて拳くんの家に来た。

・・・高そうなマンションだな。


fkr「ベッドはここ。奥使っていいから。」


「え、ソファで」


fkr「付き合ってる男女が寝るのに片方がソファは変でしょ。」


「・・・拳くん。」


fkr「Aが嫌なら何もしないから安心して。」


それからというもの、拳くんはほんとに毎日好き、愛してるという言葉を伝えてくれるけど、抱きしめられるくらいで。何がしたいんだろう。怖い。


fkr「おはよう、A。今日も可愛い。好きだよ。」

fkr「仕事お疲れさま。早く会いたくて駅まで迎えに来ちゃった。手、繋いで帰ろ？」

fkr「ドライヤーしてあげる。ここ来て。髪の毛サラサラ、髪も、爪も全部好きだよ。」

fkr「A。俺、Aのこと愛してるよ」




「なん、なの・・・」


後輩「Aさん週明けなのに疲れてますね？どこか行かれてたんですか。」


「この際どこかに行きたかったよ私は・・・」


土日、お休みだったのかインドアな拳くんは家にずっといて。
好きと愛してるの大放出だった。
ご飯を作ればベタ褒めと愛の言葉、家事をすれば感謝と愛の言葉、とにかく1動作に1愛の言葉。


「逆に胡散臭い・・・」


後輩「え？」


「あ、ううん、なんでもない。」


拳くんは分かってない。
好きと言われなかったから気持ちが伝わらなかったとか、そういうことじゃないんだってことが。


fkr「今日も、美味しい。Aの作るオムライスが1番好き。」


「玉葱入ってないけどね。」


fkr「そこがまた優しさがあっていいんだよ。A大好き。」


「・・・あのさ、拳くん。」


fkr「んー？」


「私、拳くんから好きって言われてないとかそういう理由で出てったわけじゃないから。」


fkr「・・・うん。」


「毎日拳くん外で食べてきて会わない日も多かったでしょ？私から好きって言って付き合うことになったから拳くん別にただのルームシェアくらいの感覚なんだって思って嫌になっただけ。」


fkr「俺が気持ち伝えてたら済んだ話じゃん。だから好きって気持ちあるってことだけでも言わせてよ。」


「・・・もう、遅いよ。」

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