帯に短し襷に長し

愛情に裏も表も ページ1

私の好きな人は怖い。
それはもうとっても。

fkr「A」

「はっ、はい。」

A「はい。」

fkr「Aのほう。これ、問題文消すタイミング早すぎ。これじゃ見てる人一時停止しないと全文読めないじゃん。」

「すみ、すみませんっ」

fkr「それともなに、Aは速読が得意だからこの秒数で読めますって？」

「いや、いや、でき、でき、ないです。すぐ、すぐになおし、ます。」

wtnb「今日もいじめてますねえ。」

ymmt「だねえ。」

wtnb「楽しんでますよね、可哀想に。今日も詰められるたびにピクピクしてるよ」

こうやって怒られるたびにオフィスの皆んなに好奇の目で見られる。
そりゃそうだ、福良さんが怒るのは自分だけなんだから。
はあ・・・今日もダメダメだった・・・
いっつも今回こそは！って思うのにな。

fkr「あ、A」

あ、私じゃない方か・・・
声が、優しいもん。

A「はい。」

fkr「この前出してくれた動画ありがとう。軽く手直ししておいたからもう一度Aの方で確認しといてくれる？」

A「分かりました。」

同じタイミングで入った同性のAさん。
・・・すごい、なあ。
あの福良さんが1発OKなんて。
Aさんの編集はとっても綺麗にまとめられててとっても見やすい。

私も、ありがとうって、言われて、笑いかけて欲しい。でも、センスが、ない。
・・・だめだめ、私も頑張るしかない！マイナスなことは考えない！

でも、やっぱり、悲しい。

sgi「Aまた福良にいじめられたんか？」

「いじ？！そんなことありません。また注意は、されましたけど・・・」

福良さんに嫌われている。
福良さんみたいな天才的にぱぱぱっとひらめく系の人にはイライラするようなタイプの人種なんだろうな、私。

sgi「またしょんぼりオーラ出しとるな。ほれ、元気出せ、これやる。」

「・・・！！アポロ！！」

sgi「好き？」

「好き！！大好き！！」

透明フィルムを剥がして2粒手のひらに出した。
んん、今日はちょっと悲しいモードだから贅沢に2粒一気に食べちゃう！！

「・・・ん〜〜〜！！アポロ〜〜！！へへ、須貝さん、ありがとうございますっ！！」

sgi「相変わらず脱力したようなら笑い方すんのな。文字起こしするなら、にへらってとこか。」

にへら？
そんな笑い方なのかな？
美味しいんだもん、嬉しいとこうなりますよ？

嬉しくて須貝さんに笑いかけた時、視界の端の方から声が聞こえた。

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