inferiority【QK】 another story (ページ32)

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祥彰とはそれから赴任する日まで今までと変わらず過ごして。
結局のところ2年間どうするとか、何も言わなかった。

空港には1人で来た。
芽衣は空港まで行くよって言ってくれたけど、離れられなくなっちゃいそうで、家で別れた。

チェックインを済ませてベンチで1時間何して待とうか考えていたら隣に誰かが座った。

ymmt「いつ飛行機の時間とか教えてくれるのかずっと待ってたのに。」

「祥彰？！」

ymmt「僕とバイバイせずに行っちゃう気だったの？酷いなあ。彼氏だよ僕。」

「・・・ごめん。」

バイバイなんてしたら行きたくなくなっちゃう。
明日会おうって言える距離にいたくなっちゃうんだもん。

ymmt「・・・泣かないでよ。」

「・・・私のこと、忘れないで。会えなくても祥彰の1番でいたい・・・これ以上わがまま言わないから・・・お願い・・・」

ymmt「Aちゃん、これ。あっちでずっとしてて。」

「・・・え」

左手の薬指にはめられたのは芽衣の指輪のデザインを相談された時に可愛いと言ったあの指輪。

「ちょ、これ、高い、」

ymmt「婚約指輪だもん、僕のお嫁さんになってってお願いするんだから当たり前でしょ。・・・僕の婚約者なんだって、これ見て2年間忘れないで。」

「・・・いいの？人生の伴侶、ここで決めちゃって。」

ymmt「僕はもうずっと前から決めてるよ。Aちゃんだって。あと2年しか独身生活させてあげないんだから、あ、浮気はだめだよ！」

「・・・」

ymmt「ちゃんと2年で帰って来て。帰ってきたら、結婚しよう。」

「・・・うん。ありが、と。」

手荷物検査の手前まで、ずっと、手を握っていた。

「・・・も、行く。」

ymmt「・・・うん。Aちゃん、行ってらっしゃい。」

いつも小さくて可愛い祥彰が、ぎゅっと抱きしめてくれた。
もう、大丈夫。
あっちでも頑張れる。

「行ってきます。大好き！」

ymmt「僕も！」

最後は笑って、祥彰に手を振った。
飛行機に乗ってしばらく、指輪を見つめていた。

2年後が楽しみで、あっという間に過ぎちゃうかも。

時差がほとんどないこともあって、週に2,3回は祥彰とリモートで話すことが出来て、そりゃちょっとどころじゃない寂しさだってあるけど、気持ちがなくなるなんてこと全然なかった。
早く、またぎゅってしたい。

好きだよ、祥彰。