inferiority【QK】 another story (ページ30)

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あれから結局、祥彰に連絡は取れないまま。
祥彰からの連絡も忙しいからって自分の中で勝手に理由を作って未読スルーしている。

引継ぎ事項をまとめていたら気付けば外は真っ暗になっていて、枯淡に寄って帰ろうかな、なんて思っていた時だった。

ﾋﾟｺﾝｯ

須貝よっ。芽衣から聞いた。海外転勤とはエリートコースまっしぐらだなー

A須貝さんと一緒に住めばって私は言いましたらからね?ま、福良が許可するとは思えないですけど。

須貝芽衣のことは任せろ?結婚断られても離してやんないことにしたから。

Aあら、愛されてることで。

須貝Aちゃんも愛されてるけどな。その愛を受け取ってるかどうかは別として。

・・・須貝さんにもバレてるか。
そりゃ職場の同僚だもんね・・・ん？
あ、まずい。

A海外転勤のこと、祥彰に言いました?!

須貝言っていいなら言うけど?でもこういう大事なことはAちゃんの口から聞きたいんじゃねーの?別れるって選択肢があるのも悪いことじゃないけどそれは相手に伝えて話し合ってからの結論だろ。

A・・・芽衣のこと、よろしくお願いしますね。

須貝芽衣のことならよろしくするけどな。山本のことはAちゃんがどうにかしろよ?お得意の漢字すら読めない始末じゃ困ったもんよ。頼んだわ。

「自分のことしか、考えてないなあ私。」

未読にしていた祥彰からのLINEを開いたら、毎日1回は祥彰からの連絡が来ていた。
最後は今日の夕方。

山本Aちゃんの会社の前で待ってる。

「は？！」

このLINEが来てからもう4時間は経ってる。
パソコンの電源を落としてバッグをひっつかみ、階段を駆け下りると、本当に祥彰はそこにいた。

ymmt「Aちゃん！やっと既読になった。ずっとLINEの画面見てたんだよ？もう、なかなか読んでくれｎ・・・Aちゃん、ここAちゃんの会社の前だよ？大丈夫？」

「・・・いい。祥彰が好きだから。」

会社の前で恋人に抱き着くとかありえないでしょってドラマの主人公を見て思ってたのに。
まさか自分がするとはね。
でもいいの。どうせ数か月後にはここにはいないし。
祥彰の優しさに応える方法がこれしかなかったんだもん。