inferiority【QK】 another story (ページ12)

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山本Aちゃん?あれから連絡ないけど、大丈夫?

A大丈夫、問題なし!

山本それならよかった。ね、美味しい日本酒のお店見つけたんだけど、今度行かない?

Aうん、次空いてる日あったら連絡する。

合コンのあの日、このやり取りを最後に山本くんのことを飲みに誘うのをやめた。

週に2.3回は飲みに行ってたけど最近は芽衣が閉店までの日はほとんど毎日枯淡。
まあ、枯淡にボトル置いてるから日本酒には困ってないんだけど。

なんか。

ううん、なんでもない。気のせい。

明日は芽衣と須貝さんのデート。
もうちょっとで引っ付くんじゃないかなあ。

前にクッキー作ってる時の芽衣、キラキラしてた。
恋してるんだなあって思ったのに、当の本人はなんで気付かないのか。

ま、普段着ないワンピース着てデート、これはもう須貝さんもデレデレでしょ。

ﾋﾟｺﾝ

山本Aちゃん忙しい?

山本前行ってたお店、今週空いてる日で行こうよ

・・・。
言ってあげるべき、だね。

A山本くん。気になってる人がいて、その子に好きになってもらいたいならその子のこと、1番大切にしなきゃだめなんだよ。

A女友達だからって楽な人と飲みに行ってばっかだと一生友達で終わっちゃうよ。

A頑張れ!

ブロックせずに、通知オフにしたのは、私が弱いからで。
増えていくバッジが治まったところで、まとめてトーク履歴を削除した。

相手に1番が現れた瞬間。
男女の友情なんて崩壊する。

次の日会社から家に帰るとまだ芽衣は帰ってきてなくて。
芽衣が作っておいてくれたご飯を食べて、お風呂に入って、パックをしながら雑誌を読んで過ごしていると、真っ青な顔の芽衣が部屋に入ってきた。

顔色も悪い、震えてる。
襲われた上司に会っちゃうなんて。

背中をさすっても手を握ってもどうにもできなくて。
福良が家に来て連れ帰った時、芽衣にはああ言ったけど。

友達なんて結局のところ無力だ。

さっきまで1人だったのに、この部屋に1人でいるのが辛かった。