二人の記念日ﾟ･*:.｡.Satoshi ☆ BD企画 .｡.:*･゜ (ページ4)

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空港に着いたのは日本時間11月26日22時過ぎ。

キャリーケースを受け取り、携帯の電源を付ける。

最後のメッセージは未読のままにしてしまっていた

【Aの声聞きたい。】

という一文。

【今どこにいるの？家帰ってる？】

そう、メッセージを送るけど10分経っても20分経っても既読は付かないまま。

もしかして……全然返事しなかったこと怒ってるのかもしれない。

スマホの画面を消すとふと目に付く男女。

おかえり、待ってたよ。

なんて嬉しそうに女性が男性の元に駆け寄った。

その姿はとても幸せそうで……

私も早く帰らなきゃ。

早くあなたの元へ。

今日が、大切なこの日が終わってしまう。

足早にキャリーケースを引いて空港ロビーを抜ける。

タクシーを拾おうと手を上げた瞬間、

ポツリ、と私の頭に冷たい雫がこぼれ落ちた。

「…………雨？」

真っ暗な空を見上げると、小さな雨が降り始めていた。

いつも、あなたと会う日は雨が多かったね。

楽しみにしていたデートの日も。

些細なことで喧嘩した帰り道も。

初めて出逢ったあの日も。

雨男なあなたと雨女な私がそばにいると

どうしても雨が降るみたい。

だから、雨が降ると時々思うの。

あなたがそばにいるんじゃないか、って。

ねぇ、あなたは今どこに……

『風邪、引くよ？』

後ろからそんな声がしたと思えば、

私の上には青い傘。

振り返らなくてもわかる声にドキドキと
心臓がうるさく音を立て始める。

「………智く、ん……」

徐々に視界が涙で揺れてぼやけていく。

もう、今日のこの日に会えないんじゃないかって。

でも、今私の目の前に

『おかえり。A。』

大切な人がいる。

優しく私の名前を呼んで

変わらない笑顔で包み込んでくれる人。

そう、あなたはずっと

私にとって大切な存在。