153＊雨の涙が溢れる ページ31
*
風が、きつい。
水たまりを避けるなんて考えがなく、そのまま突っ込みローファーが水しぶきをあげた。
やっと、背中が近づく。
正面まで周り、足を止めた。
「………翔くん？何してるの……こんなとこで……」
傘の影と、私の声に
小さく見えた背中の彼が顔を上げた。
私の顔を見た途端、安心したかのように少し笑った。
櫻井「ちょっと、涼んでて」
「はぁ？涼んでって、雨降ってるんだよ！？傘もささないで何してるの！？」
もう随分と、髪も、コートも
びしょ濡れになっている。
「傘はどうしたの？」
櫻井「潰れた、強風で。」
まるで子どもみたいに単語を並べる翔くんに
さっき使った別のタオルを出して頭にのせる。
どうにか片手で傘をさしながら無理やり髪を拭く。
「翔くんの家、学校方面だよね？どうしてこんなところに…」
……なんて、この際今はそんなことどうでもいいか。
「とりあえず移動しよ？こんなとこにずっといたら風邪引く…………」
移動しよう？
と、翔くんを誘導しようとしたけど
乱れた前髪から覗く、
憂を帯びたような熱っぽい瞳に捕らわれたら最後。
傘が、地面におちる音がした。
「………しょう、…くん、？」
翔くんは髪を拭いていた私の手を、ギュッと掴んで
そっと優しく引き寄せた。
伝わる体温。
バクバクうるさい鼓動。
急に距離がゼロになって頭が追いつかない。
「………どう、したの…？」
大粒の雨は体温を、何かを奪うように
徐々に二人の身体を濡らしていく。
櫻井「ごめん、A………」
翔くんの頬に伝う雨は、
まるで涙を流しているように見えた。
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154＊突き刺す雨と風──sideS.S→←152＊傘もささずに
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みかん(プロフ) - みひろさん» みひろさん♪いつもありがとうございます(*^o^*) もう存分にお二人の先生に揺れてください！！（笑）やっと動き出しますので引き続きよろしくお願いします(>_<)！！ (2018年2月25日 2時) (
レス) id: f23ec4a766 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - ともさん» ともさん！複数コメントありがとうございます（ ; ; ）まとめて返信してしまい申し訳無いです(>_<) 最後にも書いたんですが、翔くんの「ごめん」は主人公ちゃんに対する後ろめたさで溢れた言葉ですね… ますます物語がヒートアップしますのでよろしくお願いします♪ (2018年2月25日 2時) (レス) id: f23ec4a766 (このIDを非表示/違反報告)
みひろ(プロフ) - みかんさん...翔くんと大野先生の間で、揺れる〜揺れますね...ドキドキしちゃいます(>_<)//// (2018年2月24日 18時) (レス) id: e637005b58 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 翔くんの「ごめん」は何の「ごめん」？スッゴク気になる(^_^;) (2018年2月24日 7時) (レス) id: 3ed79bfe04 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 翔くんも大野先生も…主人公ちゃんが大切な存在(´・ω・`)?大人の事情？この先が楽しみです！ (2018年2月23日 7時) (レス) id: 3ed79bfe04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2018年2月11日 12時
