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「…だれ?」
顔も名前も知らない男にいきなり話しかけられて警戒しない女性はいない
彼は、そんな私に左の口角だけあげた
「川村壱馬。最近来たばっかやから優しくしてな。お前もみたいやけど」
「私は戻って来ただけです」
「ふーん。まあこんないい町やったら恋しくなるわな」
彼のリズムのいい関西弁が耳に優しい
まるで、小さい頃から好きだった波の音ようでなんだか落ち着いた
「なんで、この町に?」
「自分を変えるため?(笑)」
彼は、自分を嘲笑った
波風が微妙な距離感の私たちの間を通り過ぎる
「あんたは?」
「…自分を変えるため?」
「似た者同士かよ(笑)よろしくな」
差し出された手を自然と握り返していた
「ほな、行くわ」
この町には似合わないはずの関西弁を残して彼は消えた。
まだ、名前しか知らない
まだ。
「おかえりー。随分短いおつかいだったね」
姉がそう言ったことで気づく
「!?…忘れてた…」
「はい、やり直し。一応もう一回言っておくとたまご5パックと生クリーム5パック!いってらっしゃい!」
「行ってきます」
さっき出会った彼のことで頭がいっぱいで頼まれてたことをすっかり忘れてしまっていた私は、両手に袋を下げて歩いていた。
それにしても重い。
一応女の子である私にこんなに重い荷物を持たせるなんてお姉ちゃんの心は鬼だ。なんて言ったら恐ろしい笑顔で働かされるだろうから言わない。
「…A??」
聞き慣れた声に振り向くと、そこには大きな目をした、よく知っている顔の彼が立っていた
「ほくちゃん!!」
吉野北人、彼は私の小学校からの幼馴染だ。
私のこの町での思い出には必ずと言っていいほど彼がいる。
「どうしたの!?東京行ったんじゃなかったの!?」
ちょっと見ない間にさらにかっこよくなったのではないだろうか、髪は赤く染められていて、ピアスまで空いている
「あー、色々あってやめちゃったの。そんなことより北ちゃん、元気だった??」
「うん、そりゃあもう!あ、荷物重そうなのに引き止めちゃってごめん!俺も持つよ」
そう言って私の返事も聞かずヒョイっと袋を持ってくれる北ちゃんの優しさに心が温まった
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ねこ(プロフ) - kahonさん» ありがとうございます!現実設定ではないですが、全員ダンス仲間です!説明足りてなくてごめんなさい、、、ゆっくり更新になると思いますが楽しんでいってください!! (2019年8月4日 9時) (レス) id: b274df5a0a (このIDを非表示/違反報告)
kahon - とても面白くて、一気に読んじゃいました(笑)。あと、疑問に思ったことがあるんですけど、この作品に出てくるLDHメンバーって、リアル設定なんですか?よければ、教えてほしいです!これからも楽しみにしてます。頑張って下さい^^ (2019年7月20日 20時) (レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこ | 作成日時:2019年7月19日 6時