十泡。 ページ10
「――それは.........!」
「―――っ嘘よ!まさか本気にしないでよっ......!!」
組織を抜けるなんて嘘
だって彼は...ピンガは組織なんかにいるのがお似合いだもの
.........そして私も
「貴方がジンにしてやられたままの男だなんて思わないわ。ピンガは死んでしまったことにして、陥れましょう。協力するわ.........私は貴方の恋人だから」
恋人で、いたいから
愛おしい貴方が隣を許してくれる人間となりたいの
王子様を救った人魚になんてなりたくないから
泡になんて、なりたくないから
王子様の
「ねぇピンガ」
「.........おい...」
「私...っ今でも貴方を愛してる.........貴方の言うこと、望むこと、全て叶えるわ」
「......っ........」
「私に、教えて?貴方の望む世界を」
私は貴方の恋人でいる限り、貴方の召使いよ
貴方が私を捨てるなら......それこそ泡になってもいい
風の精霊になって、世界中の人々を幸せにしてみせるわ
ねぇ教えて
貴方が愛する私は、何をする?
「――悪かった.........」
「......何に、謝っているの?何が、貴方を謝らせたの?何が、あなたを悲しませたの?何が.........貴方の涙を生んだの?」
愛する貴方
どうか教えて
「俺は......ずっとお前に嫌われたかった。お前は優しすぎて...組織には向いてない。人を殺せない。人を殺すお前になって欲しくなかった.........」
「......っうん.........うん...............っ」
「だけど、お前はずっと待っていてくれた.........っ!!」
「勿論待つわ.........貴方を嫌うことなんて、できっこないもの......」
「今からでも遅くないか...?一緒に組織を抜けてくれ...お前を苦しませたくない......から.........」
ピンガは涙でぐちゃぐちゃの顔を私の肩に押し付ける
初めて見た、ピンガの弱さだった
「っありがとう.........っ!!私......ピンガと一緒に生きたいの.........死に生きるなんてもう嫌.........っ!自分を偽るのも......」
「あぁ.........っどんなお前でも、愛してる...............」
「でも......あいつはいいの?貴方を騙した男を放っておくの?」
「あんな野郎を恨むより、お前を愛おしむがいいだろ?」
「.........っばか」
神様という存在がいるなら
これからどんな罰でも受けます
今まで犯してきた罪の分まで
でも今だけは......彼に抱く恋情だけは
どうか許してください
113人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夢二 | 作成日時:2023年5月27日 20時