七泡。 ページ7
電話口からハァハァという激しい息遣いと、ドタドタと複数人の足音が聞こえる
逃げているのだろうか
「――潜入先で正体がバレた...!?貴方今大丈夫なの!?」
『大丈夫だ...もう用は済んだからな。撒いてる途中だ。......お前にももうすぐ会える』
「......そう。とにかく、無事に帰らなくてはダメよ.........待ってるから」
『...!あぁ......分かってる』
ブツッと通話が切れた
彼は......ピンガは...生きて帰ってきてくれるのか
電話口で、とある少年の声がした
ベルモットの宝物で...そしてシルバーブレッド......もうひとつの銀の弾丸の銃声が
私はベッドに座り込んだまま、遠くの壁を見やる
シルバーブレッドの写真やその関係者の写真が貼ってある
“......もう、時がきたのかもしれない”
私は写真を全て剥がしてライターで燃やした
彼らの写真だけじゃない
私とピンガの写真や、色んな資料を燃やした
パソコンやスマホ、スマートウォッチまで破壊した
私の痕跡を残さないよう、何よりも厳重に
そしてキールに選んでもらったドレスに着替え、例のリップと包帯などの医療用具が入った赤いミニバッグ、そして海中スクーターを適当なトートバッグに入れる
全てはピンガの為に
ピンガの為に、私は全てを捨てる覚悟で生きてきた
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作者名:夢二 | 作成日時:2023年5月27日 20時