五泡。 ページ5
「――お口には合ったかしら?」
「えぇ...とても美味しいわ」
「流石にベルモットのお勧めね。そう言って貰えて私が嬉しいわ」
私とキールはレストランに来ていた
それは如何にもな高級志向が集まりそうなレストランだったが、ベルモットが勧めてくるだけの事はあり、貧乏舌の私はともかく、仕事が出来て稼げるから、舌が肥えてそうなキールまで溜息を吐いて絶賛していた
「......ね、キール」
「何かしら?」
「.........肩、怪我してるでしょ。動きが変よ?日常で使うような動きにまで支障が出るなんて、どんな怪我したの?」
仕事が出来るキールに怪我を負わせるなんて、只者じゃない
私達にまで話は来ていないから、警察やなんやでは無さそうだけれど......
「......鋭いわね。拳銃で撃たれたのよ、ジンに」
「まぁ......ジンに?あの野郎...」
「顔が怖いわよ?相変わらず、ジンは目の敵にしているのね。それはどうして.......あぁ、ピンガもジンが嫌いだったものね...」
ピンガとジンは犬猿の仲
というより、ピンガがジンを嫌っている
何故なら彼は目の上のたんこぶだから......
ラムのお気に入りを目指しているピンガにとっては、キュラソー亡き今、ジンほど邪魔な存在はない......
「勝手な事を言わないで?私はキールの怪我を心配しているだけだわ。私の一番の親友だもの......ね?」
「.........」
「......私、ピンガがいなかったら、貴女に組織を抜け出そうと言われていたらそうしていたでしょうね...」
「...それはベルモットのことを言ってるんじゃない?」
「まさか!ベルモットは優しくて素敵な女性よ?私の憧れ。でも...憧れは好きと違う。私はね、確かにキールにも憧れてるわ...でも、それ以上に好きなの」
そしてその上はピンガ
ピンガ程に、私が焦がれている人はいない
憧れや好きじゃない
私にとってピンガは執着だ
確かに好き、愛してる、憧れてる
でもね
それが強くなる程に、私はピンガに執着している
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作者名:夢二 | 作成日時:2023年5月27日 20時