二泡。 ページ2
「――......ピンガ...久しぶり.........5年ぶり...ね」
『あぁ。久しぶりだな』
ある日、何よりも平凡な日
初めて、なんの音沙汰もなかったピンガから電話がかかってきた
大抵はベルモット
時々、ジンやバーボン、キールからかかってくるだけの電話に、ピンガの文字が表示された時はなによりも驚いた
「.........今まで、なにしてたの。電話、できるならしてくれれば良かったのに」
『拗ねてんのか?』
「別に.........」
ねぇ、ピンガ
私、人を殺したよ
何人も、何十人も、何百人も
耳には老若男女問わず悲鳴がこびり付いている
目を瞑ると、赤黒い光景が焼き付いている
この手を汚したよ
でも貴方はそれを喜ぶんでしょうね
血腥いこの手で、貴方に触れたくないな
でも、貴方は血みどろの身体で私を抱き締めていたんだね
「...それで、どうしたの?何年間も放っておいたくせに。恋人と思っていたのは私だけだと勘違いするところだったわ」
『そんな訳ねぇだろ。.......そろそろ戻れそうだ』
「...もうケリが着くの?パシフィック・ブイは完成間近でしょう?」
『奪ってやるんだよ。老若認証をな』
「老若認証?......まぁ、いいわ、どうでも。無事に帰ってくるの、待ってるから」
酷い人
でも、私はまたこの人と生きたいと願っている
何年も会っていない、何年も話してすらいないのに
まだこの人を愛してる
声も忘れかけ、姿形も朧気なのに
記憶の中の貴方に焦がれてる
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作者名:夢二 | 作成日時:2023年5月27日 20時