34話 ページ36
『あ、服…』
起きて服を着ようと思えば、昨夜言われたことを思い出す。
『うーん。何か作るか』
「服も術式で作っていたのか」
『そう。だから着て欲しい服があれば作れるよ。何かある?』
どうせなら宿儺が好きな服を着たい。
なら本人に聞くのが一番早いだろう。
「ふむ…。なら俺と同じ着物を着ろ」
『!良いな、お揃い!早速作るよ』
同じものを纏えるのは、これ以上無い程に嬉しい。
この着物は宿儺の実体を作る時によく見たため、作ることも容易だ。
宿儺と同じものを、私の身体に合わせて作り出す。
『あ、でも私は着方が分からないな。教えてくれるか?』
「ああ、良いだろう」
慣れない和服に苦戦しながらも何とか綺麗に出来た。
思っていたよりも動き易く感じる。
『どうだ、似合うか?』
一周くるりと回り、見てもらう。
「ああ、流石俺の女だ」
『あ、ありがとう///』
予想の斜め上を行く完璧な返答に、こちらが赤くなってしまう。
いつか、私も仕返しをしたいものだ。
『あ、そうだ。宿儺って私の名前、覚えてる?』
私の記憶の限りでは、私が名乗ったのは自己紹介で言った一度きりだ。
その後、宿儺の前で名前を呼ばれたことは無い。
だから恐らく、宿儺は知らないだろう。
「…神代だろう」
ああ、これは本当に知らないな。
少し揶揄ってやろうか。
『それは苗字。下の名前、知ってるか?』
暫しの沈黙。
別に怒ったりしないから良いんだけどな。
「そういえばお前、名は何という」
そう来るか。
宿儺らしくない話題の転換に、笑みが溢れてしまう。
『琴歌だよ。琴の歌でことか。けどこの名前好きじゃないから宿儺、名前付けてよ』
いつも、双子の妹である琴葉と比べられてきた名前。
この名を、好きになれる筈も無い。
それに、死んだことになっているのだから名前を変えて別人を装う方が楽だろう。
「ふむ。ならお前はこれからAだ」
A。愛する人から貰った名は、私の心を温かくしてくれる。
『Aか〜。ふふっ嬉しい。ありがと宿儺』
私はA。
これから私は、只のAとして生きていこう。
「さて、これからどうするつもりだ?」
『勿論、先ずは現代に追い付いてもらうよ』
「成程。知識を得る訳か」
『そう。だから今日は、図書館に行こうか』
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あ - 話進まなさすぎつまらない (3月18日 18時) (レス) id: 464afcc8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ななしさん - 初コメなのに質問で申し訳ないのですが、15話で、「相手の術式を成立させないことも出来ます」とありますが、妹ちゃんの術式が成立しないようにすれば、周りの人が魅了されるのを防げたり、魅了を解除出来るのではないのですか? (2022年9月23日 19時) (レス) id: 5ca77bcde2 (このIDを非表示/違反報告)
reelay(プロフ) - ちづっきーさん» すー様は存在がもうイケメンですよね…設定は只々自分の好みをぶち込んだのですが、喜んでもらえて嬉しいです!応えられるよう、頑張りますね! (2022年8月21日 22時) (レス) @page44 id: 2f7f62128e (このIDを非表示/違反報告)
ちづっきー(プロフ) - 宿儺様がイケメンです。この話めっちゃ面白くて好きです。他の小説にはない設定最高です!!更新頑張ってください。 (2022年8月21日 21時) (レス) @page44 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)
reelay(プロフ) - Mimiさん» ありがとうございます!なるべく更新し続けられるように頑張りますね!すー様本当イケメンですよね… (2022年8月21日 16時) (レス) id: afe51dd90d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:reelay | 作成日時:2022年8月16日 13時