愛されキャラの妹がうざかったので呪いの王と呪詛師旅行してみた

22話 ページ24

猛獣は宿儺の呪力。
手元に置くのは私。
飼い慣らさずに管理下に置くためには。









檻に入れてしまえば良い。


「気付いたか」


体内に流れる呪力に意識を集中させる。
先ずは宿儺の呪力を一箇所に集める。
そしてその周囲を囲うように自分の呪力を固める。
壁は二重にし、内側は先程同様毒を中和出来るようにする。
壁を破られなければ良いのだから、厚くする必要が無い。


『ふぅ。助言が無ければ死んでいたな』


上手くいった様だ。
少しずつ身体の痛みが引いていく。


『助かったよ。ありがとう宿儺』


「つまらんな。その身体、俺のものにしてやったものを」


ツンデレだな。
お前は俺のもの宣言してくれるなんて。


「さっさと俺に実体を寄越せ。中に居るのは飽きた」


『分かったよ。でもその前に生得領域に入れてくれ。構築術式には具体的に想像することが必要なんだ』





急に浮遊感を感じる。
ここが生得領域か。
空気が重く、何処となく地獄の様な雰囲気があるな。
地獄がどんなものか知らないが。


『降りてきてくれるか？』


牛の骨のような物の山に鎮座するこの空間の主に尋ねる。
どうやらここでは着物を着ているらしい。
近付いても大丈夫だろうか？
色気に殺されないか？これ。


「ああ」


山から飛び降り、すぐ近くに着地する。
近距離で目が合う。
ヤバいなこれ。
ベースは虎杖だが、放つ色香が全く違う。


『そのままで頼む』


そんな心境をお首にも出さず平静を保つ。
周囲を観察し、型のイメージを膨らませる。
京都に居るなら男が着物を着ていても怪しまれることはないか。
ならこのままの形で実体化させよう。


『よし、もう大丈夫だ』


そう言い、意識を覚醒させる。
構築術式を発動させ、先程見た形を具象化させる。
我ながら良い出来だ。


『形はこれで良いか？』


「ああ」


次は宿儺の呪力を移動させる。
全て移動させるのでは無く、ほんの少し残しておくことが重要だ。
こうすることで左目を使った監視が出来る。


『どうだ？』


「問題無い」


上手くいったようで何よりだ。
正直な所、意識も動かせるかは賭けだったんだが。


『なら後は守ってほしいことだな』


「何だ、自由にさせてくれるのでは無かったか」


『頼んだこと以外は自由にして良いよ？』


「謀ったな」


まあそう取られても仕方ないな。
あんな風に言ったのはこのためだ。

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