21話 ページ23
空間を繋げ、拠点に移動する。
ここは京都の廃工場だ。
長期任務の最終日に来た場所だな。
任務中に拠点として使えそうな場所は、予め数箇所マーキングしておいたのだが、早速役に立ったな。
この廃工場には2階に寝泊まり出来る部屋があった。
昔誰かが使っていたのだろうな。
机に椅子、ベッドまであった。
全て術式を使って洗い、清潔にしておいた。
建物全体に認識阻害の術を掛けておいたため、誰も入っては来ない。
暫くの生活はここになるだろう。
『さて、いよいよだな』
ベッドに腰掛け眼帯を外し、両目で宿儺の指を視る。
うーむ、悍ましいな。
呪力量も化け物級だ。
これが20本とは、とんでもないな。
思い人のことは骨の髄まで愛すつもりだが、コレを食えるかといえば、厳しいな。
だが、そうも言っていられない。
宿儺の呪力は猛毒だ。
飲み込めば、すぐに術式で毒を中和しなければならない。
完全に中和できるまで苦しいだろうな。
まあ耐えてみせるが。
『よし』
意を決して指を飲み込む。
すぐに意識が消えかかったが、これだけははっきりと覚えている。
クッソ不味かった。
ーーーーーーーーーーーー
ああ、身体中が痛む。
猛毒を中和しようにも、宿儺の呪力量は膨大だ。
少しずつ中和するのでは意味が無い。
一度に全ての呪力を無力化しなければ。
「ケヒッ」
頭の中から声が聞こえる。
良かった、私の中にあの人が居る。
『なら、まだ死ぬ訳にはいかないな』
どうすれば良い。
もう意識が薄らいできた。
いつもの様に細かい操作は出来ない。
「良いのか?俺が乗っ取るぞ?ほら、頑張れ頑張れ」
応援してもらえた。
嬉しすぎるんだが。
このままアドバイスとかくれないかな。
嬉しさで昇天出来そうだ。
『頑張るけどさ…何か…助言とかくれないかな…なんて』
「良い良い、今俺は気分が良い。もうすぐ乗っ取れそうだからな」
マジか。
人間より優しいなこの人、好き。
「そもそも俺の呪力を中和するのが間違いだ。俺がお前の中に存在している以上、俺の呪力を無くすことなど出来はしないだろう」
それはそうだ。
この方法だと常に中和し続けなければならない。
なら他にどうすれば良い。
「猛獣を手元に置いておくために、わざわざ飼い慣らす必要は無いだろう?」
ああそうか。
この人には本当に敵わない。
そんな方法、考えもしなかった。
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あ - 話進まなさすぎつまらない (3月18日 18時) (レス) id: 464afcc8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ななしさん - 初コメなのに質問で申し訳ないのですが、15話で、「相手の術式を成立させないことも出来ます」とありますが、妹ちゃんの術式が成立しないようにすれば、周りの人が魅了されるのを防げたり、魅了を解除出来るのではないのですか? (2022年9月23日 19時) (レス) id: 5ca77bcde2 (このIDを非表示/違反報告)
reelay(プロフ) - ちづっきーさん» すー様は存在がもうイケメンですよね…設定は只々自分の好みをぶち込んだのですが、喜んでもらえて嬉しいです!応えられるよう、頑張りますね! (2022年8月21日 22時) (レス) @page44 id: 2f7f62128e (このIDを非表示/違反報告)
ちづっきー(プロフ) - 宿儺様がイケメンです。この話めっちゃ面白くて好きです。他の小説にはない設定最高です!!更新頑張ってください。 (2022年8月21日 21時) (レス) @page44 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)
reelay(プロフ) - Mimiさん» ありがとうございます!なるべく更新し続けられるように頑張りますね!すー様本当イケメンですよね… (2022年8月21日 16時) (レス) id: afe51dd90d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:reelay | 作成日時:2022年8月16日 13時