愛されキャラの妹がうざかったので呪いの王と呪詛師旅行してみた

11話 ページ13

「顔合わせは終わったか？」


不意に後ろからかかった声。
思わず勢い良く振り返ってしまった。
振り返ればかなりの近距離にいる男。
かなりしっかりした体格だが、どことなく雰囲気が伏黒に似ているな。


「伏黒先生！丁度終わったところです！」


伏黒か。答え合わせのために伏黒の方を見る。


「俺の親父だ」


『似ているな』


「嬉しくねえよ」


『そうか』


意図は通じたらしい。
無視されなかったことは良かった。
居ない者扱いを受けると思っていたしな。


「お姉ちゃん！こちら伏黒先生！体術の先生ですっごく強いんだよ！」


それは視れば分かる。
この男、伏黒先生には呪力が全く無い。
私は左目のおかげで閉じていてもかなりの広範囲の状況を把握できる。
それでも声をかけられるまで気付かなかったということは。
敵には回したくないな。五条よりも厄介だ。
まああいつに魅了はされないだろうが。


「褒めても何も出ねえぞ、神代妹。んで？お前が神代姉か」


『はい、神代琴歌です。今日長期任務より戻りました』


見定めているな。
術に掛からない以上、あいつを取り巻く環境の異常さに気付いているのだろう。
これは後で聞かれるな。


「まあいいや、授業するぞ。今日は2対4で模擬戦をする。術式も好きに使って良い」


なるほど。体術の授業でも術式を使うことはあるのか。
2対4？おかしくないか？
生徒は五人だぞ。
まさか先生も入る気か。
絶対手加減しないだろあの人。


「2対4ですか？どう組むんでしょうか？」


よく言った妹。
因みに私はお前と共闘もしたくないし、敵対もしたくないよ。
今から体調不良になるか。


「俺と神代姉がペアだ」


嫌だ嫌だ。
どうせ私がそれで怪我させたらまた色々言われるんだろ。
よし逃げよう。


『すみません伏黒先生。体調が優れないので早退しても良いですか』


「何言ってんだお前。ピンピンしてんじゃねえか」


チッ。
演技すんのも面倒いんだよ。
汲み取ってくれ。


「とりあえず分かれて作戦会議しろ」


はー嫌だ。
適当に自滅しよっかな。


「おい神代姉、お前すぐ自爆するんじゃねーぞ」


なんで分かったんだ。
あんたは心が読めるのか。


『分かりましたよ。あっちは恐らく私に伏黒と釘崎さんをぶつける気でしょうね。適当にいなしておくのでとどめは先生がお願いします』


「お前ら姉妹ほんと仲悪いんだな。あと俺が主体じゃ意味ないだろ」


『こちとら長期任務明けなんですよ。多少は目を瞑ってください』

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