愛されキャラの妹がうざかったので呪いの王と呪詛師旅行してみた

9話 ページ11

数日前、教室で。


「そういえば琴葉、あんた双子の姉がいるのよね？どんな奴なのよ」


茶髪の女の子が琴葉に話しかける。
どうやらまだ掛かっていないらしい。


「おーそれな！俺も気になる！」


快活そうな男の子も便乗する。
なるほど。こいつが例の宿儺の器か。
いかにも光属性ですって感じだな。


「えっとね、お姉ちゃんは琴歌って名前でね、性格はね「妹の骨を折って嗤ってるようなクズだ」恵君…」


嘘だろ伏黒。
仮にも妹の前で「こいつの姉はクズ」宣言するのか。
それは人としてどうなんだ。
私は別に気にしないが。


「はぁ〜？何よそれ。こんな良い子で守ってあげたくなるような子の骨を折る？最低じゃないのそいつ」


「だな！しかも嗤うっていうのが信じらんねえ。家族なら普通心配するだろ」


残念だが器君、私におおよそ家族と呼べる人は居ないよ。
私から人権を奪い取った隣人なら居たがな。


問題は二人ともあいつに同情していることだ。
二人からしてみればあいつは、双子の姉に虐められる悲劇のヒロイン、といったところか。


ｶﾁﾘ


ああ掛かったな。
随分と術式の使い方が上手くなったじゃないか。
まあ当然と言えば当然か。
中学までにたくさん練習してきたもんな？
私を悪役に仕立てて。


ん？おかしいな。
女の子には掛かっているが、器君には掛かっていない。
条件は整っていたはずだが。
妹も意味が分からないと言う表情だな。
もう少しポーカーフェイスというものを練習するべきだろう。
まあ直接会って呪力を視れば原因は分かるだろう。
どっちにしろ器君もあいつの味方をするだろうな。
弱い人間は守るべきだ〜、とか言いそうだ。


それにしてもこんな所に入って行かないといけないのか。
面倒だな。いっそサボるか。

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