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Aside。
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キュウリの1本漬けを見て
俺ほんまにキュウリあかんねん…
ってすっごい嫌そうな顔で言ったり、
金魚すくい得意やで!
って言ったくせにすぐ穴あけちゃったり。
初めて食べる綿飴は甘くて、口の中ですぐ溶けた。
そんなことにいちいち感動する私を見て
ケラケラ笑ったり。
視界が悪いとか言って結局お面は頭の上に。
見上げた横顔はひどく優しい。
横「もうそろそろ花火始まるし移動しよ
穴場あんねん」
「ユウはなんでも知ってるね」
そう言うと照れ臭そうに笑って
提灯の明かりと同じ色になった顔をお面で隠す。
どこかでキュ、と音がした。
.
「あ…」
ユウがヒョイッと飛び降りた段差。
着崩れが気になって同じようには出来ない。
「向こうから回ってくるね」
横「ええやんめんどい」
「きゃっ」
脇の下に手が入れられて
ヒョイッといとも簡単に私を持ち上げるユウ。
そおっと地面に下ろされた。
なんか、恥ずかしい。
横「こっち見んな」
「わっ」
お面を被せられた。
不意打ちで近付いた距離と
フワッと香った石鹸の匂い。
あ、まただ。
音がした。
.
体に響く大きな音と一緒に
視界いっぱいに広がる赤や緑や金の光。
言葉が出ない代わりに涙が出そうになった。
瞬きするのが惜しいくらい次々と夜空に咲き誇る。
「綺麗…」
その言葉に嘘はない。
だけど
横「ええなぁ…花火」
目を離すとまたすぐ居なくなっちゃいそうに儚げなユウのほうが
ずっとずっと綺麗に見えた。
キュ。
…また。
.
家まで送ってくれたユウ。
「今日はありがとう」
横「ん」
「あ、今日 "も" か」
横「はっ
せやな
毎日会ってんもんな」
「じゃあ、明日も…?」
横「え?」
「あっ…ううん!なんでもない!
じゃあね」
引き戸を引いて逃げるように家の中に入る。
カクン、と足の力が抜けた。
.
村「ただいまーってうわぁ!」
伯母「なにー?大っきい声出して」
村「Aが玄関に座り込んでるから!」
伯母「いつの間に帰ってきたん!」
「ただいま…」
伯母「着替えてお風呂入ってサッサと寝ぇやー?」
欠伸をしながら部屋に戻っていったおばさん。
村「ん?
なんでこれにしたん?」
「え?あ…」
信ちゃんの視線は私の頭の上のエイトレンジャー。
ユウにあげたのに…
次に会った時に返さなきゃ。
…また会える?
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蒼葉 - 続けてのコメントですみません(>_<) 別の作品の所に沢山の書き込みをしてしまい ごめんなさい...。 (2020年1月18日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません...。 ここ数日で物語続きから最後まで一気に読んじゃいました。 物語は完結してしまいましたが...。 その後の3人が気になります。 (2020年1月18日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 物語読んでいて一つお聞きしたいことがあるのですが...。 『鈍感力』でマネージャーさんが出て来るので すが...。 今までは名前表記だったのに何故ここだけ マネ表記に変わったのでしょうか? (2020年1月16日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 何度も続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 がむしゃらに前向きにのここの部分 私が今いるのは大坂の病院。 これ正しくは大阪ではないんでしょうか? (2020年1月16日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - またまた続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 物語読んでいて途中から物語のに出て来るほとんどの○○sideが全てsaidになっていますよ? (2020年1月16日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やな子。 x他2人 | 作成日時:2018年8月11日 3時