・ ページ17
Aside。
.
横「…こっち来て」
そう言って歩き出すから
慌てて後を追いかける。
「ねっ…どこ、行くの…」
横「んは、むっちゃゼェゼェ言うてる」
イタズラっ子みたいに笑う姿は
なんだか絵本のユウとはちょっと雰囲気が違って見えた。
「こんな山奥に何があるの…？」
横「もうちょい
ほんまにええもんってそんな簡単に手に入らんやん」
汗を拭いながら言うユウのドヤ顔がおかしくて
「そ…かもね」
だけどなんだか可愛かった。
横「着いたで」
いつの間にか太陽は沈んでいて
サァッと吹いた風に優しく頬を撫でられた。
目の前に広がるのは満天の星空をひっくり返したみたいなキラキラ。
「す…ご…」
横「やろっ？
めっちゃ穴場やねんで！
昔探検ごっことかしてるうちにこんなとこまで来てもて…」
「は…」
溢れる。
「ふぇーっ…」
横「…泣いとったら夜景見えへんやん」
そう言うのに、
無理に見せようとも泣きやませようともせず
ただ黙って
私の隣にいてくれた。
.
「お母さんね、
なんて言うか…
全ての生き物に平等に接してるって言っても過言じゃないくらい優しい人で。」
横「俺の友達にもおるわそんな奴」
「ふふ ほんと？
私そんなお母さんが大好きだったから
お父さんにお願いしたの
絶対に治してねって」
横「おん」
「でも死んじゃった…
お母さんの病状が急変した時
お父さんは政治家の手術を優先したの
…金に目が眩んだ汚い男
こんな奴の後なんて頼まれたって継いでやるもんか！って思った」
横「最悪やな…」
「でしょ？
だから私言ってやったの
医者なんて仕事、
これっぽっちも考えてません
私は自分のやりたいことをやります
って」
横「おんおん
そしたら？」
「ふざけたこと言うな！
俺に恥をかかせるつもりか！」
横「それオトンのマネ？」
「のつもり」
横「おまえおもろいな」
唇の端を上げて笑う。
チラリと見えた犬歯が可愛い。
「そう？」
横「ほんでどうなったん？」
「こんな家出てってやる！って言ったら
パシーン！って平手打ち。
思いっきり睨んどいた」
横「ぶはっ
気ぃ強！」
「えへ
そうやって威勢よく飛び出してきたくせに
結局怖くなっちゃって」
横「…助けに来てくれたん？って聞いてきたもんな」
「うん…
でももう大丈夫」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 940人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼葉 - 続けてのコメントですみません(>_<) 別の作品の所に沢山の書き込みをしてしまい ごめんなさい...。 (2020年1月18日 0時) (
レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません...。 ここ数日で物語続きから最後まで一気に読んじゃいました。 物語は完結してしまいましたが...。 その後の3人が気になります。 (2020年1月18日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 物語読んでいて一つお聞きしたいことがあるのですが...。 『鈍感力』でマネージャーさんが出て来るので すが...。 今までは名前表記だったのに何故ここだけ マネ表記に変わったのでしょうか？ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 何度も続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 がむしゃらに前向きにのここの部分 私が今いるのは大坂の病院。 これ正しくは大阪ではないんでしょうか？ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - またまた続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 物語読んでいて途中から物語のに出て来るほとんどの○○sideが全てsaidになっていますよ？ (2020年1月16日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やな子。 x他2人 | 作成日時：2018年8月11日 3時
