わたしとあなた ページ5
『ただいまぁ』
「おつかれ。遅かったね」
わたしが家に帰るとそこには幼馴染がいた。
彼はわたしの隣に住んでいて、合鍵もお互いに持っていた。(親に幼馴染の隣の部屋を勝手に契約させられていた)
幼馴染は所謂配信者で、配信がない時はどちらかの家にいるのが当たり前になっていた。
小さい時からお互いの家にほとんどいたので不思議なことではない。
「だるさんに捕まったんでしょ？」
『うぇ？』
遅くなった理由をなんて説明しようか、どうしたら怒られないか考えているとまさかの先に出てきた好きな人のお名前。
「だるまから連絡あった。″バイト終わりのまひろ捕まえた″、″送ってくから心配すんな〜″って」
『えっ、あ。そう！だるまさんとお話してたの、ずっと』
「ちゃんと俺にも連絡してよね」
『…あぁ、うん』
時計を見ればバイトが終わった時間からかなり経っていた。
遅くなった理由はだるまさんのせいじゃない。
わたしが勝手に迷子になってそこにだるまさんが救世主として現れただけなのに。優しい彼は心配性な幼馴染の事をよく理解してるから、わたしが怒られないように嘘をついてくれた。
「…」
『な、なに』
この青色の幼馴染。ばににじっと顔を覗かれる。
「どうせまた迷子になったんでしょ」
『！！』
「そこに運良くだるさんが現れた感じ？」
だるまさん、あなたのついてくれた嘘は簡単にばににバレてしまった。
『なんでわかったの』
「いやまひろが分かりやす過ぎ。嘘つけないんだから最初から正直に言えばいいのに」
『だってまた道に迷ったのか、何回目だ〜って怒られると思って…』
「そんなことで怒んない」
『だって…』
「だってじゃない、心配してんの」
わたしの言葉を遮るばに。
「次迷ったらちゃんと俺に言って。どこでも行くから」
『…』
「返事は？」
『……お父さんみたい』
「まひろ？おこるよ」
ぷに、と両頬をつねられる
『ごめんなひゃ、』
「っぷ、へんなかお」
自分でしといてなんなんだこの男は。
ってこんなことをしてる場合じゃない、
だるまさんにお礼のLINEを送る。(連絡を取る口実とかじゃないよ！)
極め付けに女の子らしいスタンプを一つ押して、送信する。
…きっと、わたしに返事をくれるのは3日後、いやもっと先なんだろうな。
続く
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作者名：こむぎこ | 作成日時：2023年8月9日 0時
