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先輩とご飯に行く日2 ページ10

「この後どうする?」
隣を歩く先輩が私に尋ねる。
"泊ってこいよ"だるまに言われたあの一言が一瞬頭をよぎる。
『どうって、』
「分かってて来たんだろ?」
先輩に腕をぐっと引かれ、身体が強張るのが分かった。
『…先輩、彼女は?』
「いるけど、今それ関係ある?」
関係ありますけど。先輩はやっぱり変わってなかった。自分勝手で、横暴で。

『…帰ります。今日はごちそう様でした』
それでも先輩の手は私の腕を掴んだままだった。

「もし俺に彼女がいなかったら、ついてきたんだろ?」
『離してください。最初に言わなかったのはそっちです』
「お前って昔からそうだよな。自分の意思なんてないフリして、人に任せてばっかなくせに。いつも人のせいにして。」
「ほんと、自分が大好きで仕方ない我儘なやつだな。付き合ってた時も俺の事全然見ようとしなかったしな。」


なんでこんな事、言われなくちゃいけないんだろう。耳を塞ぎたかったし、言い返したかった。
それが出来ないのは先輩に言われたことが当たっているからだ。


「そんなお前のこと、誰が好きになるんだよ」
先輩はそう言って、いつの間にか泣いていた私に噛みつくようにキスをした。
『…っ!』
自分が思っていたよりも強い力で先輩を突き放した。
その拍子に、お互いの唇が切れた。痛い。多分血が出た。
『もう連絡してこないでください』

口元を押さえる先輩を一人その場に残して、逃げるようにそこを去った。

------------------------------

膝を抱えるようにして地面に座り込み、涙を拭う。
先輩の言う通り、私はいつだって人のせいにしてきた。自分勝手で横暴なのは私も同じだった。

今だって、だめだと分かっているのに"助けてほしい"、という自分勝手な思いだけで着信ボタンを押してしまっている。
私の中で 電話に出てほしい気持ちとだめ、出ないでという気持ち、混ざり合って気持ちの悪い色になっていた。



〈…はい、〉
〈A?〉
私の名前を優しく呼ぶ彼の声を聞いて、止まっていた筈の涙がまた溢れてくる。


『ばにら、』
〈…今どこ?すぐ行くから〉
いつだって私を助けてくれるのは彼だった。

来てもらう日→←先輩とご飯に行く日



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黒灰白有無%(プロフ) - 1から拝読させて頂きました!!色々な意味で本当にどきどきさせられますし、展開も面白くとても楽しみで時間があっという間でした.素敵な作品を有難う御座います気が向いた時更新して頂けたら幸いです!無理せず自身のペースで頑張って下さい是からも応援しております! (11月9日 0時) (レス) @page33 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
もも - 素敵すぎる作品です。完結を心より楽しみにしています…! (7月18日 4時) (レス) id: 46bcba6e95 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎこ(プロフ) - 9日さん» 9日様〜!今年も宜しくお願いします💓9日様のそのお言葉のおかげで2023年も頑張れそうです🥹🫶いつも本当にありがとうございます! (2023年1月30日 14時) (レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)
9日 - 更新久々だー!やっぱこむぎこさんの書く小説が1番好きです笑。これからも無理ない程度に更新していただけると幸いです💞 (2023年1月29日 0時) (レス) @page30 id: 5d21b82b77 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎこ(プロフ) - 9日さん» 9日様〜!!亀更新ですみません😭!いつもありがとうございます( ; ; )!!これからも頑張ります💓 (2022年12月4日 0時) (レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こむぎこ | 作成日時:2022年7月25日 17時

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