いない日 side:d ページ23
配信を終えた俺は裏でバニラとゲームをしていた。
「うわ、もう朝やん」
「え？ほんま？」
バニラにそう言われ、時計を見れば朝の6時だった。
…流石に寝るか。
「寝るかあー」
「あ、だるさん。Aにさぁ、こないだ予定合わなくてごめんって言っといてくんない？」
「はあ？そんなん自分で言えよ」
「一応言ったんやけど、だるさんからも言っといて」
お願いね、と言い残しそのままDiscordから抜けるバニラ。言い逃げはずるいやろ。
まぁいいか。今の時間ならあいつも起きとるはず。喉も乾いたし水もついでに飲もう。
「おはよー。入るで〜」
リビングの扉を開けてとりあえずキッチンへ向かう。
「A〜、なんかバニラが」
彼女がいるであろうソファの方を見渡したが、Aの姿はなかった。
「あれ？」
あぁ、そうか。Aは昨日の夕方、実家に帰ったのだった。
Aの家族に何かあったのだろうか。少しだけ心配になる。
なんだかリビングがとても広く感じた。
…水だけ飲んで寝てしまおう、そう思い冷蔵庫を開けるとラップがされたいくつかの容器と皿が綺麗に並んでいた。
手にとってみればそれは彼女が作ったものだった。
「…どれも俺が美味しい、これ好き、って言ったやつやん」
Aが作るものは全部好きだったけど、その中でも特に好きで何度もリクエストした料理たち。
なんで俺はAが出て行くときに謝ったんやろ。ちゃんと面と向かってお礼を伝えたかった。
こんなに作り置きしてくれたのならAも言ってくれれば良かったのに。
いや、あいつは悪くない。俺がただ一言、「行ってらしゃい」と言えば良かっただけの話。
AにLINEでお礼を伝える。
≪料理ありがと！実家でゆっくりしてくれ〜≫
これにプラスお気に入りの変なスタンプを付けて送信した。
暫くAのいない生活になるのか。約半年ぶりの一人暮らし。半年前までは一度も感じたことが無かった寂しさが、少しだけ自分の中に芽生えている事に驚く。
ずっと一人暮らしだったのに、何を今更な話だが。
------------------
Aから返信が来たのは夜の遅くだった。
≪ちゃんと食べてね〜≫
それだけ。俺とAのLINEとしてはいつも通りだが、なんだか物足りなさを感じるのはどうしてだ。
少しのモヤつきを抱えたまままた配信を開始した。
知らないふりをする日 side:a→←ご飯を作ってもらう日 side:a
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 969人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「CR」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒灰白有無％(プロフ) - 1から拝読させて頂きました！！色々な意味で本当にどきどきさせられますし、展開も面白くとても楽しみで時間があっという間でした.素敵な作品を有難う御座います気が向いた時更新して頂けたら幸いです！無理せず自身のペースで頑張って下さい是からも応援しております！ (11月9日 0時) (
レス) @page33 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
もも - 素敵すぎる作品です。完結を心より楽しみにしています…！ (7月18日 4時) (レス) id: 46bcba6e95 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎこ(プロフ) - 9日さん» 9日様〜！今年も宜しくお願いします💓9日様のそのお言葉のおかげで2023年も頑張れそうです🥹🫶いつも本当にありがとうございます！ (2023年1月30日 14時) (レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)
9日 - 更新久々だー！やっぱこむぎこさんの書く小説が1番好きです笑。これからも無理ない程度に更新していただけると幸いです💞 (2023年1月29日 0時) (レス) @page30 id: 5d21b82b77 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎこ(プロフ) - 9日さん» 9日様〜！！亀更新ですみません😭！いつもありがとうございます（ ; ; ）！！これからも頑張ります💓 (2022年12月4日 0時) (レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こむぎこ | 作成日時：2022年7月25日 17時
