あの人に会う日2 ページ16
東京へ遊びに来た時は毎回ホテルまで送ってもらっていた。
でも私だって東京に住み始めたのだ。
『いや！大丈夫！毎回悪いし。東京に住み始めたんだから一人で帰れるよ』
「俺がもうちょっとAと話したいからなんやけどね」
そんな事言われたら断る理由なんてなくなってしまう。
お言葉に甘えて送ってもらう事にした。
最寄りの駅までずーーっと話していた。途中ばにが天然な事を言い出すからお腹が痛くなるくらい笑った。
『ここら辺で大丈夫！今日はありがと』
「駅から近い？大丈夫？」
『心配しすぎ。ここからすぐだから大丈夫！』
「こんな都会に住んでんだ、気をつけてね」
『そうそうすごいよね』
「ふふ、他人事やん、ここら辺家賃すごそう」
『ねー、だるますごいよねぇ』
私も初めてだるまのマンションに行った時は駅から近いのと都会さに目を丸くした記憶がある。
「なんでだるさん？」
『あ、今だるまと一緒に住んでんの！』
ばにが疑問に思うのは無理もなかった。
あんなにさっきまで喋っていたのに、だるまの家に住ませてもらっている事言うの忘れていた。
「…どういうこと？」
『引越し前日にね、私が契約したアパートにトラック突っ込んじゃってさぁ、路頭に迷いそうな時にだるまから電話があって"せやったらうちくるか〜？"って、それでお世話になってる』
私が いやぁ本当助かってる〜 なんて言ってもばには中々返事をしてくれなかった。帰るって言ってから長話しすぎたかな、ばにの前だといつも以上に喋っちゃうや。
『ごめんばに、うるさかったね。そろそろ本当に帰る！また遊ぼうね！』
手を振ってばにの元から離れようとした時、手を掴まれた。
どうしたんだろうと思ってばにの方に向き直す。
「……俺が先に連絡すれば良かった」
掴まれた手首が熱い。
『え？』
「俺が先に連絡して、俺がその提案したら、Aと一緒に住めたかもしれないのに」
下を向いていたばにが顔をあげる。
『どうしたの？……ばにに迷惑は掛けられないよ？』
「だるさんには掛けられるってこと？だるまだから一緒に住んでんの？」
……質問の意味が分からなかった。
『どういう意味？』
「ごめん、何でもない。だるさんに宜しく。」
掴まれていた手首を離された。
「じゃーね」と言って帰るばにらの背中を見ながらまだ熱い手首を自分の手で掴む。
いつになく真剣なばにらに、心臓はどくどくと鳴っていた。
投げられた質問の意味は考えないようにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1149人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「CR」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
pa1219(プロフ) - 瑠衣さん» 瑠衣様とっても嬉しいコメントありがとうございます！やる気がでました🔥また月曜日からモリモリ更新致しますので宜しくお願いします！ (2022年7月17日 20時) (
レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 更新まだかまだかといつも楽しみにしてます！これからも頑張ってください！ (2022年7月15日 22時) (レス) id: de22c87227 (このIDを非表示/違反報告)
pa1219(プロフ) - シオさん» 更新がない日でも見に来てくれているのはシオ様だったんですね！とっても嬉しいです。その言葉のおかげで頑張れます！ありがとうございます。 (2022年7月4日 20時) (レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)
シオ - このお話の続きが気になって毎日見に来ちゃいます。更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (2022年7月4日 19時) (レス) @page40 id: abd50904df (このIDを非表示/違反報告)
pa1219(プロフ) - 9日さん» 配信シーンとか全然書けてないのでそう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます！モリモリ更新します💪 (2022年7月4日 7時) (レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こむぎこ | 作成日時：2022年5月30日 23時
