後輩 ページ3
外はもう日が落ち始めている。
兄の部活が終わる頃なので、待ち合わせをした部室裏まで向かった。
サッカーボールを持って部室棟の壁に寄りかかる人影が見える。待っていたのは兄
ではなく…
『ユジン?』
彼は兄の部活の1つ下の後輩、というか、私たち兄妹の1つ下の後輩。
私と兄は同い年で、双子なのだ。
ユジン「あ、Aヌナ」
『あれ、ユジン、ギュビン知らない?』
ユジンは私の兄のギュビンと仲が良くて、たまに家に遊びに来たりするので今ではすっかり顔見知りだ。
ユジン「ギュビンヒョンに頼まれて、代わりにヌナに鍵渡しに来ました」
後輩になんてことをさせているんだ、我が兄ながら人使いが荒い。
あとで叱っておこう。
ユジン「あの、」
『ん、どうかした?』
ユジン「方向同じなので、一緒に帰ってもいいですか?」
勝手に付いてきてもいいのに、わざわざ許可とるところに健気だなー、なんて感じる。
隣を歩くユジンは歩調を合わせてくれていた。
『あそこで待たせちゃったかな、寒くなかった?』
ユジン「いえ、そんなに待ってないです。けど、」
ユジン「同級生を撒くのが少し大変でした」
え、どういう状況?
ユジン「ギュビンヒョンの双子の妹が可愛いって、ヌナうちの部で有名なので。」
そんな話初めて聞いた。なんか迷惑かけたみたいでユジンに申し訳なく思ったが、同級生を必死で撒いているユジンを想像すると少し面白い。
『私が困ると思って撒いて来てくれたの?ㅋㅋㅋ』
ユジン「それもありますけど、」
ユジン「僕が、あんまり他の同級生に会わせたくなかっただけです。」
私がユジンの同級生に会うと何か問題でもあるのだろうか、と少し疑問は残ったが、触れないでおいた。
後輩と2人での帰り道はなんだか新鮮で、なかなか楽しかった。ユジン、静かそうに見えて意外と話が続くとこが良い。
『ユジン鍵ありがとう、今度なにかご馳走するね。』
ユジン「この前近くにできたカフェ行きたいです。」
『え、いいね!今度行こっか。ギュビンにも言ってみるね』
ユジンと私が顔を会わせるときは、いつもギュビンが一緒。
なはずなんだけど、
ユジン「ヌナと二人がいいです。」
予想外の言葉に、驚く。
『お、いいけど、珍しいね?』
ユジン「ギュビンヒョンには言わないでください。」
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作者名:メチルオレンジ | 作成日時:2023年5月13日 12時