第14話『学級日誌』 ページ15
8月下旬、もう夏休みも終盤に差し掛かっている。花火大会から約3週間、その間2人には…
───特に何も無かった────
自分から行動を起こさないと何も始まらない。分かってる、そんなこと分かってるけど試験勉強と言う口実を失った2人には電話を寄越すことすらハードルが高かったのだ。
そんな2人に訪れたチャンス、それがまさに今日！！
少女は教室から窓の外を眺めていた。
今日は教材の受け渡しのみで時間指定のない登校日であり、みんなが帰った後学級日誌を書くために居残っている。
｢外、暑そうだなぁ｣
縁下くんも部活頑張ってるんだろうなぁ、
見に行きたい、会いたい。でも絶対に邪魔したくないし…
ふと隣の席を見る。
いつもだったらこの距離に居られるのにな
近いはずだったのに、今は途方もなく遠く感じる。
長い夏の終わりに君に会った時、おはようさえもぎこちなくなっちゃいそうでやだなぁ。
夏休み、早く終わればいいのに
会いたい時に会える距離になりたい、なんて欲張りがすぎるかな
｢Aさん？｣
待ち望んでいた声。部活中だからか、彼の額には汗が滲んでいる。
嬉しい、すごく嬉しい。驚きと喜びと、そんな感情がごちゃ混ぜになって、多分だいぶ緩んだ表情をしているんだろうと自分でもわかる。
『久しぶりだね、部活中？』
｢そう、忘れ物取りに来たんだ｣
『毎日大変だね…』
｢正直キツいかな、でも今Aさんに会えて元気出た｣
幸せだ、幸せとしか言えない、語彙力の低下が著しい。
『私も会いたいと思ってた』
顔が赤いのはきっと夏のせい
誰かこの熱を冷ましてくれないだろうか。
そんなことを思っていると、ガラッという音とともに夏の風が2人を包んだ。
｢お！お前らいい所に！！｣
『｢先生？｣』
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作者名：メチルオレンジ | 作成日時：2020年5月26日 12時
