＜Emil’s Memory＞ ページ7
ゾムから事情を聞いたエーミールは、取り敢えずと言って紅茶を注ぎ、ゾムに渡した。真っ白なボディに金色の縁が光るティーカップには、美味しそうな紅茶が揺らいでいる。
｢多分…面白くないですよ？｣
｢それ、ショッピ君からも聞いたわ。｣
｢そうなんですか。いやでも本当に…。｣
｢大丈夫やって！俺が聞きたいだけやし、もともとエミさんに面白さ求めてへんし。｣
｢え"っ…あ、は、そうですか。｣
ゾムの突然の辛辣さに思わず言葉を詰まらせたエーミールだが、ゾムが楽しそうに笑っているのを見て、少しだけ背筋を伸ばした。
｢それじゃ、少しだけお話させていただきますね。｣
紅茶の芳しい香りが、2人を包んでいる。
｢私は、今でもそうですが昔から本の虫でして。母や父が教授をしていたのも影響し、幼少期から本に囲まれた環境で育ってきました。
ですから、字を書いたり読んだりするのは、他の同世代の人よりかは多少早かった気がします。…ニヤニヤしないでください。イキってはいないですよ？
ただ、その分私は運動がからっきしで…。いつでも書斎や図書館に引き篭っていましたから、走るのも駄目なら戦うなんて論外、微々たるものがあるとするならば、重たい本を抱えていた分の握力、腕力があるばかり。
なので、私は友達というものが出来ませんでした。近所の子供は私の事を｢何も出来ない引きこもり｣と見下していましたし、私は私で、変なプライドか子供ながらの意地か、｢あんな野蛮なのとは関わりたくもない｣と、誰とも関わりを持とうとしなかったんです。
でも、そこに変化が現れたのは…15歳くらいの時ですね。近所に、母親と1人の女の子が引っ越してきたんです。引っ越してきたと言っても、家具どころかお金も殆ど無い、夜逃げのような形でしたけど。
子供というのは残酷なもので、違うものを直ぐに否定し、晒したがる性格にありますよね。引っ越してきた女の子は、近所に蔓延る子供らに疎まれ、嘲られ、嫌がらせを受けるようになりました。それも、ただ貧相だという理由だけで。
私はそれを、隣の自分の家の窓から、読書の合間に眺めていただけだったんです。私だって近所の奴らには干渉したくなかったし、女の子にも興味がなかったので。
けれど、ある日。その女の子が、朝早くに図書館の目の前で座っていたんです。最初は子供達から逃げるためにいるのかと思っていたんですけど、その子は開館と同時に、図書館に入っていきました。｣
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ぽいぽい(プロフ) - 雨の止まない街さん» 初めまして。一気読みお疲れ様でした！温かいコメントに元気出ました！ありがとうございます！ (2019年12月17日 12時) (
レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
雨の止まない街(プロフ) - 初めまして。数週間前に本編一気読みした者です。率直に言うと大好きです。更新は無理のないようにして下さい。陰ながら応援しています！ (2019年12月17日 11時) (レス) id: 73a1ddffb6 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 紫陽花さん» ありがとうございます！更新少しローペースですが、楽しんで貰えれば幸いです。 (2019年10月24日 19時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - めっちゃ好きです。もう言葉に表せないくらい。頑張ってください！ (2019年10月24日 17時) (レス) id: d538ff0020 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 納豆の化身さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！多分更新またサボります(あれ？？？)けど、これからも温かい目で見てやって下さると光栄です。 (2019年10月17日 23時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽいぽい | 作成日時：2019年10月16日 8時
