＜×××＞ ページ39
｢俺は、父さんと母さんから愛を貰ったと思った事なんて1回も無い。全ては出来て当たり前。俺は父さんの跡を継ぎ、その仕事を絶やさない為の駒。
『仕事が出来れば、お前やなくてもええ』
って、俺は直々に言われたくらいやしな。
俺はそれが普通やと思ってた。どうせ子供は親の駒。だから、愛なんて必要無いって思った。
でも、な。嫌でも目に付くんや。庶民でさえ＿俺より劣ってるはずの庶民でさえ、親子で仲良さげに手ぇ繋いで、色んな話して、笑って…。俺は無意識に愛を求めてた。
14歳くらいから、俺は女と付き合うようになった。性格も表ではよくしてたし、顔やら成績やら財力やらで集まってくる女はわんさとおった。俺の隣におれるのは限られた奴だけ、みたいな変な決まりも作ってさ。所詮ガキのお遊びやけどな。
16歳とかになると、色々女とのトラブルも増えてきてな。そこら辺はまぁ割愛させてもらうけど、恨みを買うこともあったなぁ。
その時には、俺はもう家を継ぐ準備を進めてたっけな。まずは取引しとる国とその主な取扱商品を覚える。次に国ごとの政治や経済の状況を、わざわざ新聞を取り揃えて情報を集め、そこからどんな物がこちらに出され、求められるかを考えて模擬で父さんと取引の練習をした。あと厳しかったのは経理の監査やな。支出や収入の額を1つでも間違えたら大変やったから、桁がとんでもない計算を散々やらされたりしたっけ。｣
｢ごめ、何言うてるか全然分からん。｣
｢ええよこんなん。俺ももう忘れたし、どうでもええ事や。｣
鬱先生は乾いた笑い声を上げた。
｢16歳のガキンチョやで？しかも、学校もまだあったし、俺は首席やったからまー大変や。板挟みで家でも休みが取れんくて、ストレスはどんどん増えてさ。まぁそれは女で解消しとってんけど。｣
｢クズやな。｣
｢今となっちゃそんなん褒め言葉やで。｣
ゾムは呆れ顔で溜息をついた。鬱先生はふふ、と笑う。
｢そうやってやりくりせなあかんほど、俺は本当に必死やった。どうにかして自分を認めて欲しかった。少しでも俺の存在がここにある事に感謝して欲しかった。俺も、子供やったから。
その苦労も結構実を結んで、俺は実際の取引の現場に同行させてもらうことも出来た。もうすぐ親の力になれる、俺の仕事が役に立って、色んな人に認めてもらえる。俺はほんまに嬉しくて…でも、そんな時にな。
国は元より外交関係の良くなかった国と、関係を悪化させ、遂に戦争を始めた。｣
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ぽいぽい(プロフ) - 雨の止まない街さん» 初めまして。一気読みお疲れ様でした！温かいコメントに元気出ました！ありがとうございます！ (2019年12月17日 12時) (
レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
雨の止まない街(プロフ) - 初めまして。数週間前に本編一気読みした者です。率直に言うと大好きです。更新は無理のないようにして下さい。陰ながら応援しています！ (2019年12月17日 11時) (レス) id: 73a1ddffb6 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 紫陽花さん» ありがとうございます！更新少しローペースですが、楽しんで貰えれば幸いです。 (2019年10月24日 19時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - めっちゃ好きです。もう言葉に表せないくらい。頑張ってください！ (2019年10月24日 17時) (レス) id: d538ff0020 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 納豆の化身さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！多分更新またサボります(あれ？？？)けど、これからも温かい目で見てやって下さると光栄です。 (2019年10月17日 23時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽいぽい | 作成日時：2019年10月16日 8時
