＜×××＞ ページ16
｢その夜は、雨で寒い日やった。俺はまたしても戻ってこうへん母さんに、昨日よりももっと悪い予感がして、探しに行った。
その中で、見つけてもうたんや。
返り血と雨で濡れながら立ち尽くす女共と、そして…その中で無惨に横たわる…母さんを。｣
しんぺい神はその様子を思い出したのか、そのがたいのいい体を少し震わせた。
｢女共は呆然と俺を見てから、｢こいつが悪い｣とか｢お前も共犯だ｣とか言いながら、向かってきた。俺は絶望しすぎて、抵抗する気も起きへんかった。それに、人を傷付けることはしたらあかんって、母さんに教わったからな。女共にだって暴力は振るいたくなくて、俺もやられるままだった。
俺は直接治療をしてへんかったからか、刺されるようなことは無かったけど、結構殴られたなぁ。その後歩くのがきついくらいには。
女達が帰った後、俺は地を這って母さんの元に近付いた。もう母さんは息をしてなくて、ぼんやりと夜の雲の果てを見つめてるだけやった。
泣いたよ。思いっきり泣いた。母さんが殺された事は勿論やけど、医者としての姿を否定されたような気がして、絶望した。
だって、その女達も例外なく、俺らの治療を受けとってんで？それに、治療した敵兵共があいつらの夫や息子を殺したなんて事実もないし、襲ってきた兵士は結果的にはこちらに被害を出さなかった。なんなら被害を受けたのは、腹を刺された母さん1人やろ？
なのに…なんで殺されるまでされなあかんのや？そりゃ敵を治しとったらスパイとかを疑われるのは分かる。分かるけどさ。あの女達に殺されるような直接的理由はなかった筈なんや。
今まで一緒に暮らしてきて、母さんが優しいって事は分かっとった筈や。そいつらやって、母さんと友達やったのに…。｣
しんぺい神の声は震えていた。落ち着かせるかのように、静かに深呼吸をする。
｢俺はどうにか体を動かして、母さんの遺体を埋めた。そして、その町から出た。情報を漏らされたら、俺も制裁を受けて殺されるかもしれんし、何より…
俺はその事件があってから、女が怖くなった。｣
しんぺい神が苦笑する。
｢あかんよね。患者さんとして女の人が来るのに、俺は未だに女の人が怖い。多分もう、好きになれん。その代わりって言うのもあれやねんけど、俺は男子の方が親しみやすかったし、真っ直ぐな奴が多いからか好感が持てた。だから俺は今、こういう人間として生きてんねん。｣
しんぺい神はどこか寂しそうに笑った。
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ぽいぽい(プロフ) - 雨の止まない街さん» 初めまして。一気読みお疲れ様でした！温かいコメントに元気出ました！ありがとうございます！ (2019年12月17日 12時) (
レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
雨の止まない街(プロフ) - 初めまして。数週間前に本編一気読みした者です。率直に言うと大好きです。更新は無理のないようにして下さい。陰ながら応援しています！ (2019年12月17日 11時) (レス) id: 73a1ddffb6 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 紫陽花さん» ありがとうございます！更新少しローペースですが、楽しんで貰えれば幸いです。 (2019年10月24日 19時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - めっちゃ好きです。もう言葉に表せないくらい。頑張ってください！ (2019年10月24日 17時) (レス) id: d538ff0020 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 納豆の化身さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！多分更新またサボります(あれ？？？)けど、これからも温かい目で見てやって下さると光栄です。 (2019年10月17日 23時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽいぽい | 作成日時：2019年10月16日 8時
