問題提起は出発点 ページ1
始まりは、ある食害男の一言であった。
｢なぁ、そういえば皆これまでどーやって生きてきたん？｣
｢へっ？｣
目の前でパスタを食べている少年ー、いやロボロは、素っ頓狂な高い声を上げてゾムを見た。体に似合わぬ大きな瞳がくりくりと動いて目の前の男を見る。
｢どうって…どういう事？生い立ちとか、そういう事なん、ゾム？｣
ゾム、と呼ばれたその男は、唐揚げで目一杯にその頬を膨らませながらこくこくと頷いた。いつの間にかお気に入りとなった緑のパーカーの、フードがふかふかと揺れる。
｢うん…俺が知っとるのはロボロの過去くらいやんか。｣
｢そうやな。1回見られてもうたからな。｣
｢でもさ、皆は俺の過去を知っとるわけやんか。俺が喋ってもうてんからさ。｣
｢そうやね…あの時に喋ってくれたもんな。｣
｢何か…狡いわ。｣
｢なんやねん狡いってw｣
ロボロがあはは、と笑いながら口の端についたミートソースを親指で拭ってペロリと舐めた。美味しそうに目を細めて水をあおる。
｢せやからさ、今から色んな奴の昔話聞きに行こうと思うねんな。｣
｢昔話て…あいつらが昔話喋っとると思うとなんか笑えるな。｣
｢因みにロボロって皆の過去知っとるん？｣
｢いやぁ…皆そんな過去の話なんてしいひんし…。｣
ロボロはうーん、と唸ってから、さも当然かのように言った。
｢あんま興味無いしな。｣
｢お前ほんまに…心が無いんやな。｣
｢過去に興味無いだけや！心はあるわ。｣
あまりの薄情っぷりに、ゾムが呆れながらフォークとナイフを置いた。手の甲でごしっと口元を拭い、空の食器が連なったトレーを持って立ち上がる。ロボロもそれに続いて席を立った。
｢俺今日行こ。皆んとこ。｣
｢えー、そう聞くとちょっと気になるな。皆どんな風に生きてきたんやろ。｣
｢ロボロも来る？｣
｢いや…俺今日から3ヶ月監視番やからさ。戦争も終わったことやし、皆気が緩んでもうてるから、俺がしっかり見とかなあかんからな。｣
｢おー真面目やん。頑張って。俺サボるから。｣
｢お前…wまぁそっちも頑張って。｣
食堂から出たゾムとロボロは、それぞれ違う方向へ廊下を進んだ。
｢さて、そうは言っても誰から聞けばええかな…。｣
キョロキョロと辺りを見回すゾムの目に映ったのは、煙草を咥えながら壁に寄り掛かる細身な影。瞬時に近付けば、その男は肩をビクッとさせて煙草を消し、ゾムを見た。
｢…吃驚した。何してんすか。｣
｢なぁなぁ、突然やねんけどさ…。｣
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ぽいぽい(プロフ) - 雨の止まない街さん» 初めまして。一気読みお疲れ様でした！温かいコメントに元気出ました！ありがとうございます！ (2019年12月17日 12時) (
レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
雨の止まない街(プロフ) - 初めまして。数週間前に本編一気読みした者です。率直に言うと大好きです。更新は無理のないようにして下さい。陰ながら応援しています！ (2019年12月17日 11時) (レス) id: 73a1ddffb6 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 紫陽花さん» ありがとうございます！更新少しローペースですが、楽しんで貰えれば幸いです。 (2019年10月24日 19時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - めっちゃ好きです。もう言葉に表せないくらい。頑張ってください！ (2019年10月24日 17時) (レス) id: d538ff0020 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 納豆の化身さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！多分更新またサボります(あれ？？？)けど、これからも温かい目で見てやって下さると光栄です。 (2019年10月17日 23時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽいぽい | 作成日時：2019年10月16日 8時
